燃料希薄化の追求が著しい乱流予混合燃焼では,乱れの影響により火炎の一部が消炎する局所消炎が同時多発的に発生し,未燃焼ガスの放出や全体的消炎に発達する負の面がある.しかしながら,乱れの条件によっては,局所消炎部が高い確率で局所消炎から回復するために,全体的には燃焼を継続することができる.そのために,燃焼可能範囲が拡大する意外性と利点がある.その鍵は,乱流中の渦により熱と反応物が輸送され,局所消炎から回復させる機構を解明することであると考える.本研究は,非定常な希薄乱流燃焼で生じる局所消炎回復機構の研究課題で残された「渦輸送による局所消炎からの回復機構」を再現するための新実験モデル「オフセット対向流火炎」を用いて,燃焼ガス中の渦が熱と反応物を輸送することにより局所消炎から回復させる機構を再現して定量的に解明することを目的とする.初年度(2017年)は,実験装置を製作し、オフセット率0.4を境にスラント火炎および双曲線状火炎の2種類の異なる火炎が形成されたことに成功した.オフセット率が0.4以上で火炎背後のみに渦を形成さる双曲線形状の火炎となり、この火炎が主たる研究対象である.基本火炎構造と火炎背後に形成される渦構造の分類とそれに基づく消炎クライテリアの決定を行った.2018年度は、高速ビデオカメラにより撮影した消炎の瞬間までの一連の挙動、メタン空気およびプロパン空気火炎を用いたルイス効果および火炎背後の渦による消炎限界近傍での火炎振動現象と局所消炎現象など明らかにした.
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