研究課題/領域番号 |
17K06209
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
宇高 義郎 玉川大学, 工学部, 客員教授 (50114856)
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研究分担者 |
大久保 英敏 玉川大学, 工学部, 教授 (80152081)
諸隈 崇幸 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (00756059)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 沸騰熱伝達 / 限界熱流束 / 異形態相関沸騰 / 狭隘間隙 / 伝熱促進 |
研究実績の概要 |
本研究では,異形態相関沸騰と呼ぶ,水プール中の狭隘空間沸騰における限界熱流束の向上方法を提案している.ドライアウトの出現する高過熱度領域において,系統的な温度分布を付与する伝熱面構造により,自己ぬれ部とドライアウト部とを隣接共存させ,それらを互いに干渉させる温度分布境界部を意図的に存在させ限界熱流束の促進を図る.そのような原理に基づく方式を実験的に検証し,限界熱流束の向上を実現させることを目的としている.昨年度までは,異形態相関沸騰用の伝熱板および伝熱ブロックを用いる狭隘空間沸騰実験装置を製作し,異形態相関沸騰用における基本パラメータの影響を検討した.その結果,低熱伝導率および高熱伝導率材料の幅および狭隘間隙間隔の影響を実験的に明らかにするとともに,提案した異形態相関沸騰現象の有効性を示した.本年度は,狭隘間隙への液体供給に大きく影響する伝熱板寸法の影響を検討した.すなわち,矩形辺長が10 mm, 20 mm, 40 mmの3通りの伝熱板寸法を用いて,核沸騰の全過熱度領域にわたる沸騰曲線を,材料幅と狭隘間隙寸法をパラメータとして測定した.伝熱面寸法の増大にともなって熱伝達の低下する傾向は通常の狭隘間隙における沸騰現象と類似であった.しかし,異形態相関沸騰における材料幅と狭隘間隙寸法の影響は伝熱面寸法により顕著に変化した.通常の伝熱板の場合と比較して限界熱流束は顕著な向上を示し,伝熱面が大きい場合には,より大きな材料幅が有効であった.その結果は周囲の液体供給とぬれ部の寸法と関係する材料幅に影響されていると考えられることなどを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに実行した,プール水中の狭隘間隙における異形態相関沸騰の基本パラメータの影響の解明に加え,令和1年度には,狭隘間隙沸騰において特に重要な影響を及ぼす伝熱面の寸法を大きく変化させ,実験測定を実施した.伝熱面寸法の限界熱流束への影響を,基本パラメータの材料幅および間隙寸法と関連付けて明らかした.狭隘間隙における異形態相関沸騰の特性解明をさらに進めることにより,その有効性を示すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
さらに計画を進めていく.すなわち,これまでの検討結果に加え,基本パラメータの影響を明らかにするとともに,高速写真撮影による観察により,異形態相関沸騰のメカニズムに関する検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定の伝熱面加工などの予定が,新型肺炎の影響により大学内での準備加工等ができなくなってこと,および今年度実施の計画の一部が年度末になったため,支払い手続きが次年度になったことによる.
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