研究課題/領域番号 |
17K06210
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
松本 浩二 中央大学, 理工学部, 教授 (60229549)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 界面活性剤 / 過冷却 / 固液相変化 |
研究実績の概要 |
当該年度では,分子径の大きい界面活性剤を母材としてその濃度をCMC(臨界ミセル濃度)とし,分子径の小さい方の濃度をCMCより極めて低い濃度に設定した2種類の非イオン性界面活性剤と水を予め同時混合して過冷度測定実験を行う.同様の実験を一方の界面活性剤濃度を上げながら行う(パターン1).次に,母材界面活性剤(濃度:CMC)-水混合液に母材以外の界面活性剤を低濃度から徐々に濃度を変えながら滴定して過冷度測定実験を行った(パターン2).そして,過冷却は確率現象なので,同一条件で30回の測定を行い,その平均値を平均過冷度として評価した.また,固体面への界面活性剤分子の疎水基の吸着量が過冷度に影響すると考えられるので,QCM(Quartz crystal microbalance)装置を使用して固体面への吸着量を定量的に測定し,平均過冷度との相関を検討した.以上の実験により,以下の結果が得られた. (1)疎水基の寸法が異なる2種類の界面活性剤混合液の平均過冷度の特性は,単一の界面活性剤を使用した場合とまったく異なることを明らかにした. (2)分子サイズの異なる2種類の界面活性剤の使用は,母材界面活性剤のCMCによる制限されることいなく純水より大きい平均過冷度の領域をより高濃度の領域まで広げることができた・ (3)母材界面活性剤の分子サイズの大きさの平均過冷度に及ぼす影響は,混合方法の違いより大きいことが分かった. (4)平均過冷度と界面活性剤分子の吸着量の間には強い相関があることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画より順調に研究が進展し,分子径の異なる2種類の界面活性剤-水混合液の混合を,当初の計画では,当該年度では研究実績の概要で示したパターン1のみの実験を行う予定であったが,実際にはパターン2の条件でも実験を行い,それぞれの混合方法での平均過冷度の特性を明らかにし,その特性が,固体面への界面活性剤分子の吸着量特性と強い相関を持つことを明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は,パターン1及び2の条件下で,様々な金属表面での氷の付着力に対する界面活性剤の影響を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
納期の関係で注文すべき消耗品が注文できなったので,次年度に当該消耗品を注文する.
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