研究課題/領域番号 |
17K06210
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
松本 浩二 中央大学, 理工学部, 教授 (60229549)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アニオン系界面活性剤 / せん断応力 / 表面エネルギー / 等電点 / 過冷却 |
研究実績の概要 |
アニオン系界面活性剤-純水混合液(以下,混合液)の濃度を臨界ミセル濃度(CMC)に固定して,その混合液を任意の極性の電圧印可することで帯電した銅表面上で完全に凍結させた後,銅表面と生成された氷の界面に水平方向にせん断力を与え,試験板から氷を破壊することなく完全に剥離させた.この時与えたせん断力を測定し,得られた結果を氷の付着力と定義した.なお,銅表面温度は-3℃とした.同様の実験を銅板への印可電圧を変えながら行った.また,他の研究者の結果との比較を容易にするため,せん断力を氷の付着面積で除したせん断応力で結果を評価した.また,測定結果の妥当性を検討するために,アニオン系界面活性剤が吸着した氷の表面エネルギーを印可電圧を変えながら測定し,せん断応力の測定結果と比較し,以下の結果が得られた. (1)プラスの印可電圧の上昇に従い,せん断応力が次第に増加した.(2)電圧印可をした場合の氷表面の表面エネルギーも,界面活性剤無添加の条件下での氷に比べ増加することが分かった.(3)混合液pHと混合液と接している金属表面の等電点が異なるために界面電位が生じ,印可電圧が0Vでもプラスのせん断応力となった.(4)マイナス電圧を印可した場合,アニオン系界面活性剤を使用したため界面いは界面活性剤分子の疎水基は吸着したため,純水のせん断応力より小さく印可電圧の大きさに係らず,一定のせん断応力であった. また,濃度がCMCの混合液をステンレス容器に入れ,一定冷却速度で混合液を冷却しながら,任意の極性の電圧印可により帯電したステンレス容器内の混合液の過冷度を測定した.印可電圧を変へながら同様の測定を行った結果,プラスの電圧を印可した場合,印可電圧に係らず平均過冷度は純水のそれより大きくなることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究室では,これまで様々な金属,ガラスや樹脂におけるせん断応力(氷の付着力)の測定を行い,得られた結果を様々な学術論文に投稿してきた.その経験から,せん断応力の測定や,本研究で得られた結果の評価方法にも精通している.同様に様々な種類の非イオン性の界面活性剤を使用して様々な金属やガラスに対する氷のせん断応力を測定し,得られた結果を,様々な学術論文に投稿してきたので,同様に,得られた結果の評価方法にも精通している. また,これまで純水に非イオン性界面活性剤を添加した場合の過冷度を様々な条件下で測定してきたので,過冷度の測定実験にも精通している.また,せん断応力の結果と同様に様々な学術論文に投稿してきたので,本研究で得られた結果の評価方法にも精通している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,カチオン系性界面-純水混合液を使用した場合の銅板に対するせん断応力(氷の付着力)の測定を銅板への印可電圧や極性を変えながら明らかにしていく.なお,本年度実験を行ったアニオン系界面活性剤-純水混合液から生成された氷の銅表面に対するせん断応力の結果を,2019年度のできるだけ早期に学術論文投稿する.また,アニオン性界面活性剤-純水の混合液の過冷却現象に関しても,印可電圧をマイナスにした場合と0Vの場合についても並行して検討し,今後,学術論文への投稿を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
納期の関係で注文すべき消耗品が注文できなったので,次年度に当該消耗品を注文する.
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