研究実績の概要 |
2019年度:SUS304製の二重容器間に絶縁油を満たし,内容器底部に絶縁材を張りコンデンサー化し,内容器内のラウリルジメチルアミノ酢酸(両性界面活性剤)-純水混合液に対し,そのpHと直流印加電圧を変えて30回の測定による平均過冷度と界面活性剤分子の吸着量を測定し, 各pHと印加電圧での平均過冷度と吸着量の相関を純水の場合と比較した. (1)界面活性剤添加水のpH変化による界面活性剤分子の帯電により,臨界ミセル濃度(CMC),平均過冷度,吸着量が変化した.(2)平均過冷度のpH依存性は吸着量のpH依存性と同じ傾向であった.(3)非イオン性界面活性剤以上に過冷却解消の抑制効果を持つことを示した.さらに,界面活性剤分子の構造から電圧印加による吸着形態の違いが平均過冷度に影響を及ぼす可能性を示唆した.(4)電圧印加による吸着量の増加を確認し,界面活性剤分子の吸着形態の変化を示した.(5)CMCを超える濃度の界面活性剤濃度と平均過冷度の相関が非イオン性界面活性剤使用の場合のそれとは異なることを示した. 2017と208年度は各々以下の結論が得られた.2017年度:(1)異なる分子サイズの非イオン性界面活性剤の使用は,母材界面活性剤のCMCに制限されることなく純水より大きい平均過冷度の領域を高濃度の領域まで拡大できた. 2018年度:(1)正の印加電圧の上昇に従い,せん断応力が増加した.(2)電圧印加をした場合の氷表面の表面エネルギーも,界面活性剤無添加の条件下での氷に比べ増加した.(3)混合液pHと金属表面の等電点の差により,0Vでも純氷のせん断応力より増加した.(4)CMCの混合液をSUS304容器に入れ,一定冷却速度で混合液を冷却しながら,任意の電圧印加により帯電した容器内の混合液の過冷度を測定した結果.正の電圧を印加した場合,印加電圧に係らず平均過冷度は純水のそれより大きくなった.
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