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2018 年度 実施状況報告書

環境調和型超音波照射法によるバイオディーゼル燃料の合成とNOx低減技術の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K06213
研究機関静岡理工科大学

研究代表者

十朱 寧  静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (60288404)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードBDF合成 / 固体触媒 / 量産化 / 物性値測定 / 燃焼実験
研究実績の概要

まず、2017年度に購入した強力超音波発生装置(シャープ製600W)を用いる容量30LのBDF合成実験システムを構築した。200Vの電圧を使うため、特別な配線電気工事を行った。その後、超音波照射条件のもとで、合成装置内の水温変化や調整したゼオライトを用いるBDF合成の生成率を調査した。その結果、ヒータ投入による反応温度60℃と600W照射の条件で、BDF生成率が高くなった。
続いて、量産化を目的とする流通型のBDF合成システムの設計とテスト合成実験を実施した。設計では、Solidworksによる流通型BDF合成システムのモデルを構築したうえ、流れの解析を行い、BDF合成高効率化を図るための触媒および流路の配置方法の最適化を検討した。一方、BDF合成実験の結果、BDFの合成率が非常に低かった。原因として、流れにより、反応装置内のキャビテーションの発生が抑えられ、BDF合成に寄与しなかったと考えられる。現在では、固体触媒をプレートに固定させたうえ、超音波反応槽には、固体触媒を固定した複数のプレートを立て、回分式によるBDFの量産化方法を検討している。
また、回分式により合成したBDFの物性値、たとえば、粘度、密度、流動点などを調査した。特に、酸化防止剤の投入によりBDFは酸化しにくい結果が得られた。
さらに、BDF燃焼実験では、汎用ディーゼル発電エンジン(株式会社パワーテック:DE2.0E))用いて0wから1600wまで順に負荷をかけていき、回転数、負荷、35ml消費にかかった時間、電圧、電流を測定する。この際の燃料は軽油、BDF、混合燃料(B5)を用いて実験を行い、それぞれの熱効率を測定・比較した。試験の結果、燃料の種類にもかかわらす、得られた熱効率はおよそ15%であった。熱効率の値に大きな差が見られなかったことからBDFは軽油の代替燃料として十分に実用できる範囲だと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年目の計画では、量産化できる流通型BDF合成システムの設計と合成、BDF物性値の測定および耐酸化性方法の検討などをとしていた。流通型合成方法を用いる場合は、超音波キャビテーションの発生が流動による抑制され、結果的にはBDFの生成率が低かった。原因究明するには、時間がかかってしまった。また、計画書にあったヤトロファ油への適用実験に関しては、ヤトロファ油は有毒な油なので、いくつかの商社には打診したが、日本ではなかなか入手できないことが分かった。さらには、廃食油を用いるBDF合成実験では、廃食油に含まれた遊離脂肪酸は塩基性固体触媒への障害となり、十分な触媒機能が発揮できず、BDFの生成率が高くなかった。
一方、BDFの物性値評価実験やBDF生成立の測定実験は順調にこなしてきた。さらに、3年目に予定していたBDF燃焼実験を前倒して実施した。

今後の研究の推進方策

まず、引き続きBDF量産化の実現に向けてあらゆる方法を検討・実施する。現時点では、複数のプレートに固体触媒を固定させて、プレートを超音波反応器に配置する方法で検証する予定。続いて、酸性固体触媒と塩基性触媒を併用し、廃食油を利用するBDF合成実験を成功させる。廃食油合成時の問題点は廃食油に存在している遊離脂肪酸にある。酸触媒の使用により遊離脂肪酸の成分を減らしてから固体触媒でBDFを合成するさせる。同時に海外からヤトロファ油の入手方法を検討する。さらに、本学に設置する小型エンジンに排気再循環実験装置を設計・追加設置し、BDF燃焼時のNOx発生の低減を図る。2018年度には、NOx、COと黒煙を測定する装置を導入済みで、2019粘度には、昨年度の燃焼実験結果の上で、引き続きBDFを用いる小型ディーゼルエンジンの動力性能および排気ガス特性を調査する。このほか、海外共同研究先(中国江蘇大学)のPDPA噴霧解析実験装置を用いて、合成したBDF・酸化剤と流動点改善剤を加えたBDFの噴霧特性を測定し、噴霧化されたBDFの粒度分布や噴射角度、噴射距離などの特性を明らかにする。燃焼に与える影響を調べる予定。

次年度使用額が生じた理由

今年計画していたアメリカでの学会発表は時間的には間に合わず、代りにタイで開催する国際会議にて、研究発表を行った。このため、17万円程度の旅費を浮かすことになった。31年度には、タイで開催学会に参加する予定があり、今回で浮かした助成金を旅費に当てたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Investigation of Solid Catalyst Poisoning Characteristics for Bio-diesel Fule(BDF) Synthesis by Using Ultrasonic Irradiation2019

    • 著者名/発表者名
      Ning Zhu, Mingchi Kuo and Liu Liu
    • 雑誌名

      Materials Science and Engineering, Volume 501, 012005(April, 2019)

      巻: 1 ページ: 12005

    • DOI

      10.1088/1757-899X/501/1/012005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 環境調和型超音波照射によるBDFの合成2018

    • 著者名/発表者名
      十朱、郭
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス2018
  • [学会発表] 超音波照射によるBDF合成2018

    • 著者名/発表者名
      十朱
    • 学会等名
      BDF合成に関する研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Bio-diesel Fuel Synthesis based on Ultrasound Irradiation and its Application2018

    • 著者名/発表者名
      Ning Zhu
    • 学会等名
      TSINGHUA CROSS-DISCIPLINARY FORUM (TCDF) 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] Investigation of Solid Catalyst Poisoning Characteristics for Bio-diesel Fule(BDF) Synthesis by Using Ultrasonic Irradiation2018

    • 著者名/発表者名
      Ning Zhu
    • 学会等名
      Proceedings of The 9th TSME International Conference on Mechanical Engineering
    • 国際学会
  • [備考] 伝熱工学研究室

    • URL

      http://www.sist.ac.jp/me/zhu/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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