研究課題/領域番号 |
17K06217
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
劉 維 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70446417)
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研究分担者 |
小泉 安郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 客員研究員 (20215156)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 限界熱流束 / 発生機構 / 強制流動サブクール沸騰 / 壁近傍気液構造 / 壁近傍観察 |
研究実績の概要 |
本研究では、強制流動サブクール沸騰条件での限界熱流束(Critical Heat Flux, CHF)の発生機構を理解するために、最先端可視化技術及び液膜厚み計測技術を強制流動サブクール沸騰CHF条件に適用し、CHF発生直前の壁近傍の気液構造を観察し、CHF発生機構を明確化すると共に、モデルの詳細検証に必要な細部データを計測し、強制流動サブクール沸騰条件でのCHFモデルを検証することを目的とする。 平成29年度は三カ年計画の一年目で、下記の研究事項を実施した。 試験用強制水循環ループを製作した。強制循環ループは水タンク、ポンプ、予熱器、流量調整バイパス配管、試験部、気液分離器及び配管から構成される。水タンクは保有水量が300L、タンク水温度を調整するために加熱ヒータを内蔵している。ポンプの最大吐出圧は2MPaで、最大質量速度が7000kg/(m2s)で試験体へ水を提供できる。また、バイパス配管を設置することによって、試験体への流量を幅広く調整できるループを製作した。そして、製作した試験ループに対して、性能試験を実施し、所定の流量調整及び温度調整がうまく機能していることを確認した。 また、平成30年度から開始するCHF時加熱壁近傍気液構造観察実験のために、ミクロンオーダーの解像度を達成できるように光学システムの開発に着手した。長距離顕微レンズQUESTARをPhotron高速度カメラと組み合わせて、最大2ミクロン/pixelの高解像度を達成できる見込みが得られた。さらに、加熱壁近傍液膜底層厚みを計測するためにレーザー光減衰測定システムを構築し、レーザー光及び減衰効果検出器を選定した。 以上の研究活動により、強制流動サブクール沸騰条件でのCHF実験及びミクロンオーダーな観察データの取得が可能になり、研究を確実に進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強制循環ループを製作し、強制流動サブクール沸騰条件でのCHF実験が可能になった。また、長距離顕微レンズQUESTARをPhotron高速度カメラと組み合わせた高解像度光学システムの開発により、CHF時加熱壁近傍観察により壁近傍の気液構造に関するミクロンオーダーな観察データの取得に見込みが得られた。さらに、加熱壁近傍液膜底層厚みを計測するために長3.39 μm のHelium-neonレーザー光及びレーザー光減衰効果の検出器(Pb-Se)を選定し、レーザー光減衰測定計測技術の開発に着手した。以上、所定の実施項目をすべて実施し、研究が順調に進んでいる現状である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度に引き続き、ミクロンオーダーの解像度を達成できるように、光学システムの開発を実施すると共に、加熱壁近傍液膜底層厚みを計測するためのレーザー光減衰測定システムの構築及び確認を実施する。そして、製作した試験用強制循環ループ、試験体及び開発した計測システムを用いて、CHF実験及びCHF時加熱壁近傍気液構造観察実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
水循環ループの製作において、ポンプ、バルブや配管等の仕様の最適化により経費を節約できたため、当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、当初予定通りの計画を進めていく。
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