研究実績の概要 |
本課題では,公共空間における音声案内や音によるう誘導を目的として,単純な構成で広い範囲にわたり同じ方向から音が到来するように知覚させるために,板を伝搬する屈曲波から音が斜めに放射される現象を利用する方式を考案し,その実用化におけるいくつかの問題を解決すべく研究を実施している。 平成29年度には,音声誘導が目的であることを考慮して,アクチュエータによって音響放射パネルを実際に駆動したときに,その放射音において十分な音量が得られること,および,パネルから斜めに音が放射される条件が満たされるかどうか実験により検証した。 平成30年度は,前年度の成果を踏まえて国際会議にて成果発表(1)を行うとともに,音の到来方向の実測と放射音の周波数特性および過渡特性に関する評価を行い,国内会議で成果発表(2)を行った。 (1) Wakatsuki Naoto, Mizutani Koichi, Ebihara Tadashi, Kinoshita Haruo, Fujii Ayaka, `INCLINED SOUND WAVE FIELD GENERATED BY ACOUSTIC RADIATOR PANEL FOR AUDITORY GUIDING SYSTEM,' Proceedings of the 25th International Congress on Sound and Vibration, Hiroshima, Japan, #1021, 5 pages, (11 July, 2018). (2) 大東祥太朗,若槻尚斗,水谷孝一,「大面積パネルの屈曲波を用いるスピーカの放射特性測定に関する研究」,電子情報通信学会情報・システムソサイエティ特別企画 学生ポスターセッション予稿集,ISS-ISP-004, 1 page, (20 Mar, 2019).
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が 832,556円生じることとなった。これは,平成30年度の実施項目として当初計画していた,「(2)位相同期波動中継ネットワークの設計」,が未実施であることが主な理由である。平成30年度の当初計画にある「(1)低損失音響放射パネルの設計」において,放射音の周波数特性が想定よりも良好でなく,その解決のため前年度までに購入済の実験試料を用いる実験と現有機材である計算機用いて詳しい解析を行うこととなり,当初は平成30年度内に計画していた物品購入および成果発表を平成31年度に持ち越すこととした。 したがって,研究項目の後ろ倒しによるものであり,研究期間全体として使用目的や費目の変更を伴うものではなく,次年度使用額を含めて直接経費は下記の区分で使用することを計画している。 物品費: 800,000円,旅費: 400,000円,謝金等: 200,000円,その他: 132,566円,計: 1,532,556円
|