| 研究課題/領域番号 |
17K06222
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| 研究機関 | 筑波大学 |
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研究代表者 |
若槻 尚斗 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40294433)
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| 研究分担者 |
水谷 孝一 筑波大学, システム情報系, 教授 (50241790)
海老原 格 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80581602)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 音響放射パネル / 音声誘導 / 先行音効果 / 音場計測 / 音場生成 |
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| 研究実績の概要 |
本課題では，公共空間における音声案内や音による誘導を目的として，広い範囲で同一方向からの音の到来を知覚させるため，パネルを伝搬する屈曲波から音が斜めに放射される現象を利用する方式を考案し，その実用化におけるいくつかの問題を解決すべく研究を実施した。
平成２９年度は，音声誘導が目的であることを考慮し，人が聴覚的に到来方向と誘導音声の内容を理解するに足る音量が得られるかどうか検証を行った。その結果，電磁アクチュエータと数W程度の出力のパワーアンプを用いることで，音響放射パネルを十分なレベルで駆動し得ることが判明し，パネルからの放射音を用いる提案システムの根幹部分の妥当性が示された。
平成３０年度は，放射パネルからの放射音が作る音場の計測とともに，本システムから放射される誘導音は人が聴取するべき音声であることから，音の到来方向に加え，放射音の周波数特性および過渡特性についても評価を行った。その結果，想定した音の到来方向が得られ，方向性を持った誘導音声となることが示されたが，波動が板を伝搬する過程で数kHz以上の高周波数域が早く減衰してしまうことと，板の端で反射した振動が不要な逆方向の音場を生成してしまう問題も明らかとなり，システムの大規模化に伴う波動伝搬距離の延長において，これらを解決する必要性が見いだされた。ここまでの結果は国際会議および国内会議で発表を行った。
令和元年度は，前年度に見いだされた問題である放射パネル端での反射をなるべく抑えながらパネルを延伸する方法の検討を行った。特にパネル同士の接合方法による反射の違いについて計測と数値シミュレーションを行い，施工現場で実施可能な有効な接続方法に繋がる特性を見出すことができた。この結果は国内会議において発表を行った。また，放射パネルを延伸するもう一つの方策として，振動を中継する手法を検討し国際会議での発表申込を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では，パネル中の波動の端部での反射を抑える接合方法の検討に加え，パネルを長距離延伸した場合に生じる減衰を補うための中継手法を確立し，その成果発表を行うことを想定していたが，アルミハニカムパネルを用いる場合の波動伝搬特性において予想よりも音声の明瞭度に関わる高域の伝搬特性が良好でなかったため，その原因究明などに時間を要するなどの遅れを生じた。それに伴い，次の研究項目であった波動の中継手法についての研究の着手に遅れが生じたことから，令和元年度内の成果発表には至っていない。また，概ね手法の目処が立ったため研究期間を１年延長して国際会議発表への申込を行っていたが，CoVID19の影響で，その国際会議が1年延期されたため，現在は別の発表先として国内会議等に切り替える予定である。
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| 今後の研究の推進方策 |
基本的には，令和元年度で完了する研究計画であったが，音響放射パネルを延伸してより実用化に近づけるための信号中継方法に関する研究項目について手法の検討段階であった。令和2年度は，この項目を引き続き検討する。ただし，新型コロナウィルスの関係で年度前半は，実験を行うことを控える必要があり，数値シミュレーションを中心に実施し，９-１０月頃に検証実験を実施することを現状では予定している。なお，仮に数値シミュレーションによる検討であっても，これまでに取得した実験結果を併せて利用することで学術的な意義のある成果を期待することはできると考えられる。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
最終年度（当初は令和元年度を予定）に得られた研究成果について国際会議への発表を実施したいと考えていたが，当初予定より進捗が遅れ気味であったため，次年度に開催される予定の国際会議での成果発表に使用する目的で，研究機関を一年延長するとともに，旅費と参加費のために次年度使用額として残した。ただし，次年度発表予定として申し込んでいた国際会議がCoVID-19の影響で1年延期となったため，成果発表は国内会議に切り替えるとともに，さらに研究を推進するための物品費および雑誌論文への投稿料としての使用を予定している。
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