研究課題/領域番号 |
17K06230
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 博輝 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50451737)
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研究分担者 |
近藤 孝広 九州大学, 工学研究院, 教授 (80136522)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 低周波振動 / 衝突振動 / 動吸振器 |
研究実績の概要 |
本研究では,周期加振による衝突振動を利用する機械で発生する低周波振動に対して,効率的な防止対策を構築することを目的としている.本年度は,メカニズムに基づいた振動低減が可能となるように,床からばねで支持された質量(下質量)に周期加振力が作用し,その上にもう一つの質量(上質量)が自由に飛び跳ねることのできる状態で置かれた2自由度の解析モデルを用いて,低周波振動の発生原因となる周期解の分岐点にパラメータが及ぼす影響を解析的に調べるとともに,周期解の安定化(低周波振動の抑制)に対する基礎支持減衰の効果について検討を行った. まず,解析的に導出した周期解を用いた検討により,低周波振動の発生原因となるホップ分岐点を含めた各種の分岐点が現れるパラメータの条件式を明らかにした.これにより,低周波振動が生じる加振力の大きさおよび振動数の関係が明らかになった.さらに,成長する振動成分を表すホップ分岐点における固有ベクトルを解析的に導出し,これを用いて低周波振動の振動数が決定されるメカニズムに対して衝突現象が果たす役割を解析的に調べた.その結果,低周波振動の発生振動数は下質量とばねから成る系の固有振動数よりも低くなることが明らかになるとともに,下質量の自由振動成分の位相が両質量の衝突によって引き戻されることにより,振動数の低下が生じていることがわかった. さらに,下質量と床の間に減衰がある場合についても上記と同様の解析を行った結果,減衰の追加によりホップ分岐点に起因する解の不安定化を抑えることが可能であり,低周波振動の抑制に対する基礎支持減衰の有効性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析が順調に進んだことにより,低周波振動の防止に対する各パラメータの効果を明確にすることができた.さらに,有力な振動対策手法として期待される動吸振器を付加した系についても同様の解析が可能であると思われることから,本研究が順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,動吸振器を付加した系に対して解析的な検討を行い,動吸振器の固有振動数,減衰および質量が低周波振動の抑制(周期解の安定化)に及ぼす影響を効率的に明確化する.さらに,本年度までに得られている結果を整理することで低周波振動のメカニズム解明を進めるとともに,メカニズムに立脚した効率的な防止対策法の構築(動吸振器の最適設計)を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
現在,研究に用いる機器の一部について仕様の検討を行っているものがあり,手配を次年度に持ち越すこととなった.なお,本計画変更に伴う研究遂行の遅延はない. 当該機器については,仕様決定後に予定通り使用する.次年度は成果をまとめる際に必要となる各種消耗品の購入を予定している.また,成果を発表するための出張費および論文投稿料としても当該研究費を使用することを計画している.
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