超高齢社会では,支援の必要な高齢者でも自力で福祉車両の運転ができるようになれば,活動範囲が拡大されQOL(生活の質)は大幅に向上する.福祉車両は高齢者でも広所では操縦はできるものの,周辺認知能力の低下に伴い,狭所では壁への衝突や方向転換で身動きがとれないなどの問題が起こる. 本研究課題では,拡張現実感(AR)を用いて高齢者を含むシステム全体の操縦性能を向上するビジュアルアシスト制御系を構築し,高齢者の自立に向けた福祉車両の操縦支援システムの効果分析を行う.提案する仮想隊列制御系は,ARを使って仮想世界と現実世界の車両を隊列する新しい操縦法である. 2017年度はヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使って車両の動きを可視化し,その先行仮想車両に対して現実の車両との間に仮想隊列を構成した.操縦者はHMD上に投影された仮想車両を操作し,その操作により,仮想隊列に連なる搭乗車両を間接的にかつ安全に運転する.2018年度はUnityを使ったリアリティの高い仮想車両を利用したロバストな福祉車両の制御システムを実装した.福祉車両STAViを使ったビジュアルアシスト制御系のプロトタイプを実装した.2019年度は,このプロトタイプに複合現実を利用したアシスト機能を実装して,自動運転と手動運転の切り換え実験や操縦性の評価を行った.2020年度はHoloLens2を使って実験を行い,有効性を検証した.
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