研究課題/領域番号 |
17K06232
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
濱川 洋充 大分大学, 理工学部, 教授 (30243893)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 流体関連振動・騒音 / 流体工学 / 渦 / 管群 / フィン / 音響 |
研究実績の概要 |
発電所の大容量ボイラなどの熱交換器の管群において度々発生する気柱共鳴現象は,未だ設計段階での発生予測が困難である.本研究は,非線形性が強く解明されていない渦強度および管軸方向相関長に及ぼす気柱共鳴現象の影響を明らかにし,発生予測法を開発することを目的とする.本年度は,実験装置の製作およびその試運転を行うとともに,気柱共鳴現象発生に及ぼす渦の管軸方向の相関長の影響を実験的に調査した.その結果,以下の結論を得た. (1)管群気柱共鳴現象と管群上流のはく離流れとの関係を実験的に調査した.はく離域が増加し,流路が狭まるほど,共鳴音のストローハル数とピーク音圧レベルが低下し,共鳴発生流速が増加する.渦のスパン方向相関長の変化を考慮したギャップ流速の修正式を提案した. (2)フィン付き円柱から発生する空力音に及ぼすフィン傾斜の影響を実験的に検討した.裸管にフィンピッチ比が0.27~0.44のスパイラルフィンおよびフラットフィンがあると,空力音のスペクトルのピーク音圧レベルが低下する.フィンピッチ比が0.27の場合にはスパイラルフィンの方が音圧レベルの低減に有効であるが,0.44の場合にはフラットフィンの方が良い. (3)気柱共鳴現象の発生に及ぼす管軸方向の渦の相関長および同期性の影響を実験的に調査した.気柱共鳴現象発生時には,管群の最後列の管から放出される渦は管軸方向に位相が揃って放出されており,相関長が極めて増大する.管軸方向の渦の相関長が増加すると,気柱共鳴現象が発生しやすくなる. (4)気柱共鳴現象発生前後の渦放出と共鳴音圧変動との位相関係を実験的に調査した.抗力方向の管ピッチ比が3.0のとき,気柱共鳴現象発生前後において管の左右の圧力差と側壁音圧との間の位相差は-0.5π rad変化した.この結果は,渦系が音響粒子の加速度により励振されると仮定して理論式から求めた値と良く一致した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,実験装置の製作およびその試運転を行うとともに,気柱共鳴現象発生に及ぼす渦の管軸方向の相関長の影響を実験的に調査した.さらに,渦のスパン方向相関長の変化を考慮したギャップ流速の修正式を提案した.フィン付き円柱から発生する空力音に及ぼすフィン傾斜の影響および気柱共鳴現象発生前後の渦放出と共鳴音圧変動との位相関係を実験的に明らかにした.ほぼ当初の計画のとおりに研究が進展していることから,「おおむね順調に進展している」の評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
研究がおおむね順調に進展していることから,研究計画の変更はない.今年度は,これまでの結果を踏まえ,様々な管群配列およびフィン形状について,検討および見直しを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画のとおりに研究費および旅費を使用した。物品の割引価格での購入と格安の出張を行ったため,わずかな次年度使用額が発生した。金額がわずかであるため,次年度の助成金の使用計画に変更はない。
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