研究課題/領域番号 |
17K06234
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
坂本 眞一 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (40449509)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 熱音響 / 未利用熱エネルギー / 断面積 / エネルギー変換 / 熱漏れ |
研究実績の概要 |
熱音響現象を応用すると,廃熱である,未利用熱エネルギーを有効に利用することが可能となる.熱音響システムを応用するとこれまでにない冷却システムを作ることが可能となる.また,その廃熱をエンジンや発電機の入力エネルギーとすることが出来る可能性を持っている. 我々のチームは,熱音響システムの基本原理,設計用数値計算や構成部品などについて多くの知見の集積がある.また,低温度廃熱の利用を目指した熱音響システムの低温度駆動 や,音と熱のエネルギー変換の高効率化について多くの知見を蓄積している.これらのアドバンテージを生かして,未だ取り組まれていない,断面積スケーリングを明らかにし,廃熱を代表する,未利用熱エネルギーの有効利用を目指している. これまでに直管形状の熱音響システムについて検討を行っている.直管形状の熱音響システムでは強制駆動タイプと自励振動タイプについての検討を行っている.強制駆動は簡便に実験条件を設定でき,直管形状は両端閉端であるため,境界条件の強固である.まず,強制駆動で音エネルギーを入力し,システム内でのエネルギー変換についての検討を進めている.また,熱エネルギーを入力し,自励振動を発生させ,システム内でエネルギー変換を実施する熱音響プライムムーバーについての検討も実施している. 熱音響システムの断面積を3パターン変更したシステムを構成した.システム内の音場分布,音圧分布,粒子速度分布,位相分布ならびに音響インテンシティ分布について,詳細な計測を継続した.その結果,音エネルギー並びに熱エネルギーについても,事前の予想通り,断面積に比例していないことが確認されている.また,その要因についても検討を進めており,入力熱エネルギーの漏れや音エネルギーの漏れが大きく影響している可能性が示唆された.その熱漏れやエネルギーのロスについての検討を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直管形状の熱音響システムを中心に検討を進めてきた.直線形上は両端が固定の音場となるため,システム内の音場分布において境界条件が強いという利点があることから,はじめに取り組んでいる.また,エネルギーの入力が比較的簡便で,実験条件を設定できる強制駆動タイプをはじめに取り組んでいる.また,熱エネルギーを入力し,自励振動を発生させ,システム内でエネルギー変換を実施する熱音響プライムムーバーについての検討も実施している. 実験において,断面積を3パターンのシステムを構成した.システム内の音場分布,音圧分布,粒子速度分布,位相分布ならびに音響インテンシティ分布について,詳細な計測を実施した.その結果,音エネルギー並びに熱エネルギーについても,事前の予想通り,断面積にしていないことが確認された. また,その要因についても検討にむけて,システムから外への音の漏れ,熱漏れについても測定を実施した.しかしながら,熱漏れについては既存のシステム形状の問題点から,継続が必要かと考えられる. システム内の音場や音の漏れ,熱漏れの測定と平行して,数値計算についても開始しており,実験状態の再現に向けて検討を継続している.
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今後の研究の推進方策 |
直管形状の熱音響システムでの検討を進めいる.熱から音への変換である熱音響プライムムーバーならびに音から熱の変換である熱音響ヒートポンプについても検討を行った.直管形状でない,音を周回させるループ管形状の熱音響システムに取り組んでいく. また,直管形状の測定等で得られた熱漏れ等へ検討を続けていく.直管式とループ管式では,システムないに発生する音波の位相が大きく変わると予想されることから,それに伴う,熱の漏れ,音の漏れなども検討に入れて進める予定である. これまでの実験で得られたシステム形状による測定の問題について検討を継続していく.この問題点と平行して,ループ管形状の大面積部品についての設計を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
直管形状の熱音響システムにおいて,少し前倒しで,実験を進めることが出来ていたが,実験内でシステム形状による測定の困難さが判明した.このポイントの解決に向けての検討を優先的に進めた.この検討を踏まえた上で,ループ管形状の熱音響システムの大面積部品についての設計を実施していく予定である.
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