熱音響現象を応用すると,廃熱である,未利用熱エネルギーを有効に利用することが可能となる.熱音響システムを応用するとこれまでにない冷却システムを作ることが可能となる.また,その廃熱をエンジンや発電機の入力エネルギーとすることが出来る可能性を持っている. 我々のチームは,熱音響システムの基本原理,設計用数値計算や構成部品などについて多くの知見の集積がある.また,低温度廃熱の利用を目指した熱音響システムの低温度駆動や,音と熱のエネルギー変換の高効率化について多くの知見を蓄積している.これらのアドバンテージを生かして,未だ取り組まれていない,断面積スケーリングを明らかにし,廃熱を代表する,未利用熱エネルギーの有効利用を目指している. 熱音響システムの形状については,第一に直管型に取り組み,その後,ループ管型について取り組んだ. 熱音響システムの断面積を3パターン変更したシステムを構成した.システム内の音場分布,音圧分布,粒子速度分布,位相分布ならびに音響インテンシティ分布について,詳細な計測を行った.計測には圧力センサを用い,その測定値を2センサ―パワー法で解析した.また,システム内ならびに構成部品・デバイスの温度分布や温度変化についても詳細に測定した.その結果,音エネルギー並びに熱エネルギーについても,事前の予想通り,断面積に比例していないことが確認されてた.スタック内の熱流についても詳細に測定する方法を提案し,実施することに成功した.断面積と比例しない要因としては不必要なエネルギーの漏れであることが確認された.一方,断面積変化を利用する方法について着想があり,今後の効率向上や低温度駆動にむけてのアイデアとなることが分かった.
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