研究課題/領域番号 |
17K06239
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
向井 正和 工学院大学, 工学部, 准教授 (50404059)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 交通システム / スマート社会 / 制御工学 / モデル予測制御 |
研究実績の概要 |
都市の交差点における渋滞と交通事故の問題を解決するためには,インフラ協調型の交通流制御の研究が重要である.本研究では,交差点エリアで車群を形成して,信号機と連動した制御を行うことで,交通流を円滑にすることを目的とする.具体的には,①対象エリアの車両をグループ化する手法,②車群を形成するための車両の制御方法,③交通流の円滑化のための制御方法,の3つを明らかにする.この研究により,交通システムの高効率化による利便性向上,環境への負荷を軽減し,さらに交差点の安全性の向上が期待できる. 当該年度は,まず車群形成のためのグループ分けアルゴリズムの構築に取り組む.一方向の道路を想定し,車群形成システムが車両を計測・グループ分けを行う問題を考えた.手順としては,①直進車のみでのグループ分け,②右左折車両を含めた場合でのグループ分け,の2段階に分けてアルゴリズムを構築する.ここでは,限られた距離と,車両の物理的な制約があるめ,車群形成システムの位置,計測範囲,分解能を求めるために,制約条件のある最適化問題としての定式化を行った.具体的には,車群形成に許された距離と物理制約を拘束条件とし,各車両が必要な加減速操作を最小化する最適化問題を定式化できた.最適化問題として定式化し,許容する加速度や計測場所などをパラメータとして実行可能性を調べることができるようにした.また,計算機シミュレーションで手法の確認を行った.実際の道路の長さ,交通量などのデータを用いて,シミュレーション条件を実際の交通条件に近づけることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の見通し通り進められているため.
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今後の研究の推進方策 |
初年度のシミュレーションの設定をより詳細にし,シミュレーションの結果が良好であれば,検討したグループ分けのアルゴリズムを交差点のすべての方向に拡張し,交差点の対象エリアすべてでグループ化が行えるようにする.続いて,B) 車群形成のための制御方法: 前年度に明らかにしたグループ分けに基づき車群を形成する制御方法を構成する.各車群に入る車両と,各車群の長さを決めて,各車両の目標車間距離を算出する.その目標車間距離を保つように車間距離制御を設計する.制御方法は,自動車間追従制御を参考にし,2 自由度制御を想定している.車群を形成する際に,自動運転とするが,ドライバーに違和感のない車両挙動にするために,速度・加速度変化のパターンに注意して設計を行う.また,簡易ドライビングシミュレータで車両挙動を再現し,ドライバーの感じ方を確認しながら車群の形成制御を設計する. さらに,次の項目についても研究する.C)車群に対する信号機連動制御の構築: 全ての車群の燃料消費の和を最小にする信号機の現示パターンと,車群の走行パターンを求める制御問題を定式化する.この問題は,信号機の現示を0-1 変数で表現することで混合整数計画問題として定式化できる予定である.この,混合整数計画問題を解くことで,信号機連動制御を構成する.経済的な効果や,環境負荷に関する温暖化ガスの計算をすることで,研究の成果を他分野にもアピールできる評価手法の検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
少額が残ったため次年度に使用することとした.
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