研究課題/領域番号 |
17K06240
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
綱島 均 日本大学, 生産工学部, 教授 (30287594)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 鉄道 / 軌道 / 状態監視 / 機械学習 / 地方鉄道 / 安全性 |
研究実績の概要 |
鉄道において軌道とは,列車荷重を支持・案内し,列車を円滑に走行させるための重要な要素である.鉄道を安全かつ快適に走行させるためには,軌道の維持管理及び予防保全が必要不可欠であり,高頻度で監視する事が望ましい.特に軌道に生じる数ミリの上下左右の曲がりを軌道不整といい,これは車両の乗り心地と安全性に密接に関係する.大半の鉄道事業者は専用検測車を用いて軌道不整の検測を行っているが,地方鉄道の現状はこのような軌道検査に掛かる費用や人員などの理由により,十分な検査を行えない事業者も多い.そのため,センサ類,GPSなどで構成された小型プローブ診断装置を用いることで,軌道状態を安価で常時診断ができるシステムが開発されている。現在のシステムは評価値の算出を手作業で行う必要があり,自動収集した大量のデータに対応ために,軌道状態の診断・予測の自動化が必要となる.
本研究では,軌道不整の検出および軌道不整の種別の特定を自動化するために,機械学習を導入し,車体動揺から軌道状態を自動的に診断するアルゴリズムを構築する.さらに構築したアルゴリズムを用いて,シミュレーションによる検証を行う.さらに,実際の地方鉄道の軌道状態の診断可能性を検討する.本年度においては,SIMPACKを用いた鉄道走行シミュレーションにより,軌道不整の進展が車体動揺に及ぼす結果を解析し,特徴量を抽出することで,機械学習による軌道状態診断アルゴリズムを構築した.構築したアルゴリズムを用いて,シミュレーションにより生成した車両動揺から軌道異常検出を行なった.さらに,実際の地方鉄道の軌道状態の診断可能性を検討したその結果,構築したアルゴリズムによって,実測の車両動揺から高低不整,通り不整,水準不整について,異常を自動的に検出できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SIMPACKを用いた鉄道走行シミュレーションにより,軌道不整の進展が車体動揺に及ぼす結果を解析し,特徴量を抽出することで,機械学習による軌道状態診断アルゴリズムを構築した.構築したアルゴリズムを用いて,シミュレーションにより生成した車両動揺から軌道異常検出を行なった.さらに,実際の地方鉄道の軌道状態の診断可能性を検討したその結果,構築したアルゴリズムによって,実測の車両動揺から高低不整,通り不整,水準不整について,異常を自動的に検出できることを示した. これらの内容から,概ね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
下記を今後の推進方策と考えている 1)より検出精度の高い,機械学習アルゴリズムの開発 2)地方鉄道の現場において実際に発生している,軌道異常と検出結果の突き合わせ. 3)地方鉄道保守担当者へのフィードバックと継続的なモニタリングの実施
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:1.山形鉄道での現地調査が,鉄道事業者の都合により平成30年度に延期されたため.2.上記の影響により,解析結果とレール状態の紐付け作業を平成30年度に実施することになったため.
使用計画:1.現地調査用旅費,2.解析作業用人件費,謝金
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