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2018 年度 実施状況報告書

無尾翼機にTrirotorを組み込んだVTOL機Hamming Wingの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K06247
研究機関防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)

研究代表者

滝田 好宏  防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (60546050)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードVTOL / 無尾翼機 / マルチロータ / UAV / 風洞実験 / 自律飛行 / 災害対応
研究実績の概要

日本では地震,火山爆発,台風や豪雨などの災害が頻発しており,被災状況の把握にマルチロータ型UAVがすでに利用されている.他方,探索などで長距離長時間飛行が可能なマルチロータと固定翼機の利点を兼ね備えたVTOL型UAVが注目されており,実用化が待たれている.VTOL機はチルトウィング,チルトロータおよびテールシッターなど多くの形式と研究があり,本研究において比較的ホバリング時に横風に強いチルトロータ機を研究開発の対象として進めている.
昨年の研究ではTrirotorを搭載可能にする機体として,一般的な尾翼付飛行機に比べて空気抵抗が少ない無尾翼機に注目し,マルチプロペラの穴を有する機体を設計試作して,無線操縦による試験飛行を行った.また,飛行した機体をそのまま風洞に入れて,迎角とヨー角を変化させて機体に作用する力を測定した.その結果,穴が無い場合より穴が有る場合の方が安定は高いという測定結果が得られた.しかし,機体に穴を有する場合,揚力の低下と抗力の増加は避けられない結果となった.
そこで,本年は無尾翼機に穴を空けずにQuadrotorを設置することにして,Quad tilt rotor式VTOL機を試作して一連の飛行実験を行った.また,同様の無尾翼機を風洞試験して空力特性の測定を行った.その結果を基に,ANSYS Fluentを用いたCFD解析を行い,機体回りの流れの可視化し,試作した機体の特徴を把握した.また,Xflr5を用いた無尾翼機の安定性評価を行って,垂直翼の効果を確認した.さらに,無尾翼機の抵抗低減のために,翼端渦を低減するために翼端形状を変化させて風洞実験とCFD解析を行って,円形にすることが有効であることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究において試作した無尾翼機にQuad tilt rotorを搭載したVTOL機は離陸,水平機構,着陸の一連の飛行を実現した.また,CFD解析によって,低レイノルズ数における無尾翼機の設計に関する指針が得られた.今後は飛行時間の延長とペイロードの増加を目的とした機体設計試作を行う必要がある.

今後の研究の推進方策

無尾翼機に穴を空けることなく,機体の外側にプロペラを配置することで,空気抵抗が大きく改善されることが分かった.しかし,プロペラがむき出しなることによるfail safe機能の検討が必要である.
今年度は研究の最終年であり,飛行時間の延長とペイロードの増加を考慮した新たな試作機を開発することを目的とする.マルチロータ機は電池の容量とモータとプロペラの組み合わせによる効率で飛行時間が決定されるが,最適なモータとプロペラの関係は明らかになっていない.そこで,市販の部品を採用する場合,モータ効率を測定してプロペラサイズを決定する方針とする.このようにして,飛行時間40分ペイロード1kgを目標として機体試作し一連の飛行実験を行う.

次年度使用額が生じた理由

研究費の適切な運用を心掛けているところですが,国際会議に論文を投稿しましたが採択されなかったことで費用が残ることになりました.今後はこの費用を有効に利用して研究を進めて行く予定です.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Creating a 3D Cuboid Map Using Multi-Layer 3D LIDAR with a Swing Mechanism2018

    • 著者名/発表者名
      Y. Takita
    • 雑誌名

      Journal of Robotics and Mechatronics

      巻: 30 ページ: 523-531

    • DOI

      10.20965/jrm.2018.p0523

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 揺動機構付3D-LIDARとRTK-GPSを用いた測量システムの研究2019

    • 著者名/発表者名
      滝田好宏,新行内優
    • 学会等名
      日本機械学会関東支部第25期総会・講演会
  • [学会発表] 無尾翼機にQuad tilt rotorを有するVTOL UAVの空気抵抗低減に関する研究2018

    • 著者名/発表者名
      滝田 好宏, 蓑星 友浩,樫谷 賢士,田口 正人
    • 学会等名
      第56回飛行機シンポジウム
  • [学会発表] 3D-LIDARに揺動機構を用いた測量システムの開発2018

    • 著者名/発表者名
      新行内 優,滝田 好宏
    • 学会等名
      第36回日本ロボット学会講演会
  • [学会発表] Tailless Quad Tilt Rotor VTOL UAVの開発 第1報:飛行実験2018

    • 著者名/発表者名
      滝田 好宏,ファウジ ヌルプラント,蓑星 友浩,新行内 優,樫谷 賢士
    • 学会等名
      第36回日本ロボット学会講演会
  • [学会発表] Tailless Quad Tilt Rotor VTOL UAVの開発 第 2 報:無尾翼機の風洞実験と CFD による評価2018

    • 著者名/発表者名
      蓑星 友浩,滝田 好宏,樫谷 賢士
    • 学会等名
      第36回日本ロボット学会講演会
  • [学会発表] 揺動機構を用いた3D-LIDARによる地表面地図作成システムの開発 ー反射鏡による俯角の拡張ー2018

    • 著者名/発表者名
      新行内 優,滝田 好宏
    • 学会等名
      日本機械学会D&D2018
  • [学会発表] 転換機構を有するVTOL UAVの研究 -Tailless Quad Tiltの飛行実験-2018

    • 著者名/発表者名
      滝田 好宏,ファウジ ヌルプラント,蓑星 智浩,新行内 優
    • 学会等名
      日本機械学会D&D2018
  • [図書] トランジスタ技術 2018年2月号「最短コース&最短時間 UAVドローン・トランスポータ」2019

    • 著者名/発表者名
      滝田 好宏
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      CQ出版

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公開日: 2019-12-27  

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