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2017 年度 実施状況報告書

ロボットの力制御を統合的に扱う拡散パラメータ型マルチスケール・マルチラテラル制御

研究課題

研究課題/領域番号 17K06251
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

神永 拓  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (90571571)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード力制御 / 波変数 / 遠隔制御
研究実績の概要

非定型作業を,非定型環境で行うことを求められるロボットは物体や環境との接触が確定的でなくなる.すなわち,産業用ロボットであれば位置制御で行える作業でも力を考慮した接触制御が求められるが,位置制御と力制御をどのように扱うのかはロボットの制御方法上の課題である.また,ロボットを遠隔に操作することを考えたとき,特に移動ロボットにおいてはロボット自体の安定性を保つための制御は操作者の意図と無関係に作用するため,これと操作力をどのように調停するかも課題となる.
本研究では,力制御を含む制御系をどのように構成し,自律制御系との調停を扱うかを研究する.遠隔制御の分野では波変数と呼ばれる,高周波電気工学の分野で用いられるSパラメータのアナロジーを用いて相互作用力を記述する方法が用いられてきた.Sパラメータは一種のエネルギであり,速度と力から構成される量である.
本年度は,電気静油圧アクチュエータのポンプ部とシリンダ部を遠隔制御のマスタ側とスレーブ側とみなし,波変数を用いて電気静油圧アクチュエータをモデル化する方法を考案した.その上で,以下の2方法により力制御の透明性を制御する方法を考案した.1)シリンダ側に内部漏れ量を制御する比較的軽量な弁装置を設ける2)出力軸に可変な抵抗(ブレーキ装置)を設ける.これらは従来の表現を用いればバックドライバビリティを可変にすると表現できるが,Sパラメータでの表現を用いればS22に相当する量を制御することに他ならない.また,Sパラメータを用いた表現を行うことで,駆動系と,上位の制御系を含めた制御系の安定性を考慮できる可能性を示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は,Sパラメータを用いたシステムのモデリングを行い,Sパラメータを可変とする具体的な手法を2通り考案した.また,可変ブレーキを用いる方法に関しては,固定部に対するブレーキ(純粋な抵抗)ならびに伝達経路にブレーキを挿入する方法の双方を試すための実験装置をパウダークラッチを用いて実現する方法を考案した.また,この方法をHydraのシリンダならびに一般の回転型駆動系で用いることができるようにする装置の設計を行い,並びにクラッチの選定・調達を行ったが,前職で用いていたモータ駆動装置およびファームウェアの購入に関して時間がかかりEHAを用いた実験を行うに至らなかった.
固定部に対するブレーキを行うメリットは電源遮断時の姿勢保持が可能になることであり,伝達経路にブレーキを挿入するメリットは電源遮断時にリンクをフリーにして安全性を確保できることである.
さらに,電気工学的手法を活用するためのソフトウェアプラットフォームを整備した.これにより,回路的意味での安定性の解析や,実験データのスミスチャート化による寄生的圧縮性や質量(電気工学的には寄生キャパシタンスならびに寄生インダクタンス)の解析を行うことができる.
一方で,従来平成30年度に予定してたバイラテラル制御系の構成のためのハプティック装置の構成を本年度に前倒しして行った.

今後の研究の推進方策

本年度は設計した評価装置を試作し,EHAを用いた実験を行うことで,提案手法の評価を行う.また,必要な小型圧力センサの高精度AD変換基板を設計し,装置に組み込むことで高精度にデータの収集を可能にする.
さらに,バイラテラル制御のためのハプティックインターフェースとEHAの駆動装置を接続するためのソフトウェアを開発し,EHA-ハプティックインターフェース間でのバイラテラル制御の評価を行う.
上位制御系との接続に関しては,現職で用いているソフトウェアプラットフォームとのインテグレーションを進めて,次年度に予定している全身制御系とのマルチスケール・マルチラテラル制御に備える.

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公開日: 2019-03-07  

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