研究課題/領域番号 |
17K06253
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高山 俊男 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (80376954)
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研究分担者 |
小俣 透 東京工業大学, 工学院, 教授 (10262312)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ソフトアクチュエータ / ソフトロボティクス / 空気圧人工筋 |
研究実績の概要 |
本年はまず6本の中空編みチューブ内に軸を入れて駆動する2自由度アクチュエータの改良を行った.加圧による膨張で軸方向に伸びる効果を利用して中空編みチューブを屈曲させ,駆動されていない側の内壁のチューブを駆動軸に押し付ける方法では,チューブが0.1気圧程度で容易に破裂してしまい,駆動圧力を上げることが出来ず,編み角や内径を変化させても,速度,力共に大きな向上が見込めなかった.そこで加圧によって軸方向に縮むマッキベン型細径人工筋を用いる方式を採用した.マッキベン型人工筋はメッシュ状のチューブによって覆われており横方向の膨張が拘束されるため,より大きな圧力を加えても破裂しにくい.また中空編みチューブ全体もチューブが縮むことによって変形するため,駆動しているチューブが直接駆動軸に押し付けられることなりより大きな力が出せる.また内壁の発生させる波の理論式より中空編みチューブに最適な内径を求めた.さらにチューブの膨張は時間遅れが生じることから最適な駆動周波数があることも確認された.これにより内径8mmで中空円筒状に編んだ6本編みチューブに直径5mmの軸を通した試作機により,従来の試作品の速度0.55mm/sから速度1.7mm/sに推進速度を向上させた.さらに,チューブを12本に増やし,直径10mmの軸を駆動する試作機も製作した.またチューブを平面上に編むことで水平高校に2自由度に推進力を出す平面2自由度アクチュエータの試作も行った.当初の予定ではチューブ3本で周期的に上面下面に現れるように編む予定であったが,縦チューブと横チューブで非対称な編み方となることから,4本で周期的に編むこととした.またチューブで編むだけでは面そのものが軸方向にのびる影響でのびてしまい,面の反りが小さくなると考え,縦横に張った糸の間を通してチューブを通す方式を提案し,動作確認を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度より,自分が他大学に転出することになり,研究を旧組織に残してきた学生を指導しながら続けたが,昨年度より指導していた学生であったため,滞りなく研究を続けることが出来た.ただし雇用期間の決まっている転出であり,新たに学生が配属されていないことから,来年度以降は人手不足の恐れがある.
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今後の研究の推進方策 |
6本編み中空チューブや6本編み管内推進装置は,これまではただ周期的に右螺旋と左螺旋のチューブに同じ動作をさせるだけで,両者の組み合わせによってチューブ全体に波状のうねりを発生させて推進力を発生させていた.このため装置の先端は常に左右に振りながら動く状態となっていた.その動きを考察すると,チューブの駆動順序を変えることで,先端の屈曲方向を軸に対して一方向に固定したまま,胴体全体で波を発生させることが出来ることがわかった.これを利用することで管内推進装置としては分岐管で任意の方向に移動することが可能となる.そこでこれを実証する.また平面編みチューブでは糸の編み方とチューブの編み方を同一にすると,糸とチューブが干渉することもわかったため,これを回避する編み方を考案した.チューブ本数も縦4本と横4本の8本で周期動作を発生させることから,これらも駆動方法の組み合わせを変えることで,従来の駆動方法とは異なる制御方法がある可能性があるのでこれを試す.来年度から人手が減ることを考え,新たな装置開発よりも,主に制御による性能向上を目指す予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
一円単位で端数を正確に使い切るために必要となるかもわからない不要な物を買うのは好ましくない考えたため.
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