交付申請時には提案する編みチューブ式アクチュエータを組み合わせて内視鏡駆動装置を開発する予定であったが,研究機関中の2度の転出により,装置の作製維持が難しかった. そこでまず筒状の編みチューブ式アクチュエータの駆動原理から圧力による変形を理論的に解析し,動作速度を理論的に求める手法を開発した.また,これまでは空気圧による膨張でチューブが伸びることで筒状に編んだチューブ全体が屈曲して内視鏡に接触し,内視鏡を駆動させる方式をとっていたが,伸びによって力を出す場合,負荷が大きくなるとチューブが座屈してしまうため,チューブの外側をメッシュ状の筒で覆い,空気圧によって膨らむことで軸方向に縮む空気圧人工筋を筒状に編むことで,より大きな力の出せるアクチュエータとすることができた.具体的には外形10mmの硬性内視鏡を駆動するためには,初期外形3mmの細径空気圧人工筋12本のうち6本を右回りに,6本を左回りに,内径14mm厚さ1mmのシリコーン円筒の周りでピッチ120mmとなるように編むことで,軸方向に2N以上の推進力が出せるようになり,この中に170gの内視鏡を挿入して駆動することで,軸方向駆動速度3mm/s,回転角速度40rpmを実現した. また面状の編みチューブ式アクチュエータに関しても,前年度までに提案していたチューブの編み方向と中立面に配置する伸びない糸による格子の方向が同じであるとチューブと糸が干渉して動作を妨げていることが分かったため,糸による格子を45度傾けてチューブとの干渉をなくす編み方を開発した.ただしこの方式では昨年度までに提案していた駆動方法を適用すると,チューブの伸縮によって糸の格子がひし形に変形して,面全体としての湾曲を妨げることから,新しい駆動方法の開発が必要であると考えられる.
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