研究課題/領域番号 |
17K06256
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
関本 昌紘 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 講師 (40454516)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マニピュレーション / 接触作業 / 適応 / 作業座標制御 / 冗長自由度 |
研究実績の概要 |
ロボットアームによるバルブ開閉作業では,ねじピッチの不確かさによる制御目標値と実際の送り量の不一致が,ロボットに過度の駆動力を生じさせる.本研究は,このような接触操作時の位置誤差制御問題に対し,制御目標値の一部を削減し,零空間内のアーム姿勢(冗長自由度)の動的遷移を用いた解決法の確立を目的とする.本年度の研究実績を以下に示す. 1.バルブの取っ手とロボット手先部を直接連結したロボットアームによるバルブ回し実験を行い,作業時の手先接触力を力覚センサにより測定した.バルブ回転2位置変数を制御目標値に設定したとき,手先姿勢角はバルブのノブ軸に順応し,手先高さもねじピッチだけ軸方向に沿って動いた.このときの手先接触力は,バルブ上昇にも10回転中に大きくならず,平均で平面方向2N・高さ方向10N,最大で平面方向16N・高さ方向20Nであった.この値は,人の作業時よりは大きいが,手先制御無し時にロボット手先を動かすために必要となる力より小さい.制御による過度な力の発生は無かったが,ロボット固有の関節摩擦が順応発揮に強く関係した. 2.昨年度に製作した2種類のハンドをロボットアームに搭載し,ノブを掴む把持力を変えた実験を行った.ノブとの接触面積が小さいハンドでは,50~150Nまで把持力を変えたものの,手先接触力は1と変わらない結果を得た.一方,ノブとの接触面積が大きいハンドでは,把持力30N時にバルブ平面方向の手先接触力が5N小さくなった(高さ方向の違いは見られなかった).30Nの把持力により,ノブへの順応が高まる結果を得た. 3.制御目標値の数について,手先位置姿勢6変数を設定した場合,バルブの上昇で平面方向の手先接触力が大きくなる傾向にあったのに対し,位置2変数のみではその傾向は見られず,接触作業が容易になることを確認した. 4.順応を効果的に得る関節の機構(減速機)を調査した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画であった,開発ハンドをロボットアームに搭載したバルブ回し実験,把持力の違いによる順応特性・手先接触力の解析をおおむね遂行できたため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,当初の研究実施計画に沿って推進する.具体的には,実験により得られた結果を踏まえ,提案手法による接触順応動作の動力学的な安定性解析を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
接触順応実験のためのロボットアームとハンドの保守費用および研究成果発表のための費用に残りが生じた.これらは,摩擦抵抗の小さい関節への更新,実験実施にかかる機材保守,研究成果発表に使用する.
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