研究課題/領域番号 |
17K06258
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
辺見 信彦 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (80256669)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フレクソエレクトリック効果 / 圧電素子 / PZT / ねじり / センサ |
研究実績の概要 |
本研究では助成期間の初年度である平成29年度は,学術的に現象を正確に把握することを目指した。新しい実験装置を再設計して製作し,組み立ての際に3次元座標測定機とブロックゲージと補正スペーサを用いた測定フィードバックを繰り返して,約90mm 間隔のチャック間の組立アライメント誤差を全方向について30μm以下にした。また試験片であるPZT 角柱棒にねじりモーメントを与えた際に発生する側面電極の間のひずみ勾配は厳密解が求められないので,実験で得られた発生分極量測定値からフレクソエレクトリック係数として評価するためには,ねじり変形量に対するひずみ勾配量が必要となる。そこでFEM 解析を用いて数値計算による近似解で評価した。本年度は実験装置の設計・製作に並行して電極面全体に渡ったひずみ勾配分布を計算し,高精度にフレクソエレクトリック係数を算出するための評価量を導出した。FEM によるひずみ量の計算には汎用ソフトのANSYS を用いた。電極間を結ぶpath と呼ばれる解析結果の評価線を設定し,path 上のひずみ分布からひずみ勾配を算出した。面分布させた複数path により電極面全域に渡る実際のひずみ勾配分布を計算する。以上により,FEM 計算により導出したひずみ勾配量と,新規作成した高精度実験装置によって得られたねじりによる発生分極によって正確なフレクソエレクトリック効果を評価した。分極方向に設けた4つの電極間の組み合わせで発生するフレクソエレクトリック効果について発生分極量を実験により明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね初期計画通りに進行させ,当初計画していた高精度実験装置を設計製作できた。それを用いて四角柱圧電素子試験片に設けた分極方向の4つの電極間の4通りの組み合わせすべてに対して,分極量を詳細に実験により解析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
フレクソエレクトリック効果はPZT 素子の分極処理の有無に依らず発生する現象である。まずは,平成29 年度と同様のFEM 計算手法と製作した実験装置を用いて,分極方向と直交する方向のフレクソエレクトリック効果と,分極処理を施していない試験片を用いてフレクソエレクトリック分極量を明らかにする。その後,現象に対する調査結果を踏まえて,角加速度センサのプロトタイプを設計・製作に着手する。FEM 解析によるCAE を併用してセンサの形状と寸法を高出力かつ最適剛性となるように設計する。試作する角加速度センサは,一般的な並進運動の加速度センサと同様にサイズモ系センサである。まずはねじり回転の軸にセンサ素子の中心を合せるように,試作センサの筐体を軸つき形状にする。またセンサの特性評価のためのねじり振動を発せする実験機構も設計・製作し,解析を実施できるような実験装置と環境を整える。
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