PZT角柱のねじりによるフレクソエレクトリック効果について調査した。昨年度新たにモータで加振する方式に変更して両側方向ねじりを可能にし,その装置を用いて加振周波数に対し,フレクソエレクトリック分極が強い非線形を有する結果が得られた。しかしながら詳細に検討を重ねた結果,実験装置の位置決めピンの端面が,回転チャックの一部に接触していたことが判明した。さらに回転角が大きくなると,そのピンの接触の作用で,ねじりトルクと同時に曲げなどの複合的な力の作用が重畳していることがわかった。そのためねじりのみの負荷がかかった時よりも大きな電気分極を発生することが明らかになっただけでなく,複合的力の作用の組み合わせによって,単一の力や力のモーメントの作用による分極量よりも大きな電気分極量が得られる可能性があるという実験結果が得られた。装置の不具合からとはいえ,センサ応用で考えた場合の複合変形の利用に関する一つの大きな可能性を示す結果を得ることができた。 さらにピンが接触しないように装置を改良し,単一のねじりトルクの作用によるフレクソエレクトリック分極に関して調査した。その結果分極処理方向に沿った方向の電極間では,いずれの電極間であっても,使用したPZT材料では0.0002mC/m程度の大きさの電気分極量が得られることが分かった。さらに周波数範囲0.5~40Hzの範囲では,フレクソエレクトリック分極の周波数依存性がないことを明らかにした。さらに圧電効果と異なり,ねじりせん断によるフレクソエレクトリック効果ではねじりの方向でフレクソエレクトリック係数の極性が変わり,ねじり角度の絶対値が増えるほど分極量が増加すること,角度0付近ではフレクソエレクトリック係数が低くなることも分かり,ねじり振動センサに応用する場合は,バイアストルクをかけた方がセンサ感度が高くなるという実用的知見を得ることができた。
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