本研究では、タスクの力学的特徴に着目し、環境の機械的動特性およびロボットの固有ダイナミクスを積極的に利用することにより、動的で巧みな運動を実現する効率的な制御系の設計手法の確立を目的とする。具体的には、弾性を有する枝との相互作用を考慮した枝渡り運動に対する制御手法の開発を目指す。このような劣駆動系において、素早くかつ巧みな運動を実現する制御系の設計は困難な課題である。最終年度は、弾性枝を考慮した動的環境下における枝渡りを実現するために、目標ダイナミクス法を拡張する手法を提案し、その有効性の検証を行った。また、未知環境下における動的な運動の実現を目指し、深層強化学習による振幅制御手法の検討を行った。さらに、ロボットハードウェアの設計・製作ならびにばねを組み込んだ弾性枝を有する環境の機構設計およびその構築を行った。研究期間全体を通じて、環境との相互作用を有するロボットの動的に巧みな運動制御に関する知見が得られた。今後は、環境パラメータのオンライン学習および環境変化に適応可能な運動学習手法の確立およびその体系化を目指したいと考えている。
|