研究課題/領域番号 |
17K06264
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
菊地 邦友 和歌山大学, システム工学部, 助教 (20588058)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マルチマテリアル / ソフトアクチュエータ / ソフトロボティクス / 3Dプリンティング |
研究実績の概要 |
本研究課題は、素材の柔らかさを活かして、新しい機能を発現させるソフトロボティクスのコンポーネントやシステムとして期待されている次世代アクチュエータとして、異なる材料を融合させたマルチマテリアルを活用した実用的な機能性高分子アクチュエータ作製のための要素技術の確立を目的としている。 平成29年度は、マルチマテリアルを用いたイオン導電性高分子(IPMC)アクチュエータを作製するために予想される技術課題の解決、要素技術開発を行った。 IPMCアクチュエータのボトムアップ式作製・加工方法の確立として、IPMCの基材となるイオン導電性高分子の熱成形可能な顆粒を3Dプリンタ用フィラメントへと成形することに取り組んだ。その後、成形したフィラメントを用いて、熱積層型3Dプリンタにより、イオン導電性高分子構造体を作製し、IPMCアクチュエータとして利用可能かどうかを検証した。この結果、3Dプリンタにより印刷した構造体を用いて、IPMCアクチュエータの作製に成功し、駆動を確認した。 また、高性能なIPMCを作製するにあたり、無電解めっき法による電極形成が不可欠である。このことから、3Dプリント技術を活用した電極形成領域制御手法を提案し、その有用性を確認した。その結果、改良の余地はあるが、従来不可欠であった電極間の絶縁プロセスを必要としない電極形成が可能であることを確認した。 また、マルチマテリアルIPMCアクチュエータ実現の基礎研究として、正温度係数ヒータと形状記憶ポリマーをIPMCアクチュエータと一体化させる技術を検討した。この結果、提案した一体化IPMCアクチュエータも駆動を確認し、当初目的とした電圧印加前後でのIPMCアクチュエータ形状維持が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に予定していた研究計画におおむね沿って、研究成果を得ることができたと評価する。 その理由として、ひとつには、熱積層型3DプリンタによるIPMCアクチュエータ作製環境を構築し、その駆動を確認できたことが挙げられる。 また、正温度係数ヒータと形状記憶ポリマーを一体化させマルチマテリアルIPMCアクチュエータを提案し、駆動特性を評価できたためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に引き続き、マルチマテリアルを活用した実用的な機能性高分子アクチュエータ作製のための要素技術の確立を図り、駆動特性の向上を目指す。 また、提案、検証したマルチマテリアルIPMCアクチュエータの作製方法のさらなる改善を行う。 この際、従来型IPMCは、イオン交換膜と金電極により構成されていたため、コストが高く、作製工程も制限されることが課題である。このため、他の代替材料、例えば、導電性高分子電極などの機能性材料を活用できるかどうかについて検討する。 加えて、マルチマテリアルを用いた機能性高分子アクチュエータとして、IPMCアクチュエータとともに最新の素材についても調査を行い、その有用性を検証する。
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