本研究では,まず一流アスリートの走行を解析することで,その特徴を明らかにした.その特徴に基づいた仮定を立てて,ヒト走行の数理モデルを構築した.次に,同モデルの解析から,ヒト走行における周期運動の生成及び安定化の原理を明らかにした.同原理は,「着地時の前脚の姿勢角度を一定にすることで,安定な平衡点が生成される」という簡単なものであった.さらに,数理モデルを解析することで,「着地時の前脚の姿勢角度を鉛直に近づけると,移動効率が向上する」という興味深い知見を得た.同知見を走行の実機簡易モデルの実験から実証した.最後に,先ほどの知見に基づいて走行支援機を開発し,心拍数から運動効率を評価した.
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