研究課題/領域番号 |
17K06279
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
内田 敬久 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (20367626)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | モジュールロボット / 探査ロボット / 自動脱着 |
研究実績の概要 |
モジュール型狭隘空間探査ロボット開発の課題は、モジュールの自動脱着機構の確立と相対位置関係の把握、遠隔操作から自動化まで見通した脱着を繰り返す移動方法の確立である。そこで、まずモジュール型狭隘空間探査ロボットの脱着機構及び相対位置関係の把握のためのセンシングシステムの設計を行った。 脱着機構の設計について、脱着機構は機械的強度を十分にもった機構を有しつつ小型化しなければならない。そこで試作機による接続時の3次元的な位置ずれや応力集中、モータへの負荷について検証を行った。様々な接続形態における各モジュールの関節部の特性を実験により評価した。実験では、特に高い負荷がかかると予想されるメカナムホイールを有する車輪モジュールとユニバーサルジョイントによる2自由度を有する関節モジュールを用いた。実験結果より、一部のモジュールに軸部分の変形が確認できた。一部の形態においてモータへの高い負荷が確認された。脱着機構の強度設計のための有効なデータを得ることができた。 脱着機構の強度設計と並行して機構の設計を行った。脱着機構は素早い脱着と単純な機構を有しなければならない。そこでまず、2次元を想定した機構を設計した。脱着部はその特性からどうしても隙間ができてしまうためサスペンションを内蔵する機構とした。試作機による提案方法の可能性を見出した一方問題点も多く残る結果となった。 相対位置関係の把握については、近接距離での用途として赤外線による簡易システムを提案し実験を行った。2台の試作機による追従実験の結果、本方式では目標とする着脱時間の達成は困難であることがわかったため、LRFやカメラの導入を検討することとした。高精度慣性計測装置IMUセンサによる位置把握は検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進捗は、おおむね予定通り進んでいる。脱着機構設計とセンシングシステム開発の2項目を重点項目として位置づけ研究を進めてきた。以下項目ごとの進捗状況を示す。 脱着機構の設計に関して、当初予定していた機構の設計が実現に対して課題も発見されたため、強度設計と機構設計に分けて研究を実施した。試作機による実験的検証などの検討項目が増えたため、脱着機構の設計は当初計画よりやや遅れているものの、現在詳細設計に取り組んでいるところである。 相対位置関係の把握に関して、センシングシステムの開発は個々のセンサごとに分けて研究を進めている。特に高精度慣性計測装置IMUセンサを導入し、精度の検証及びデータの制御への適用方法について検討している。また、モジュール同士が接続されているときに各モジュールから得られる相対位置は既知であることを利用した、ガウシアンフィルタの一つであるカルマンフィルタにより状態推定し学習させ補正処理を行うシステムの検討も進めている。また、当初予定していなかったが、人体利用に設計した音による音源位置推定方法をロボットの自己位置推定に応用することを検討した。
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今後の研究の推進方策 |
モジュール型狭隘空間探査ロボットのモジュール全体設計及び製作を行う。また移動方法について検討する。 モジュール全体設計において、脱着機構を優先し試作することする。脱着機構は、小型化のため多くを機構的に行うように設計する。そのため、分離手順は、①ストッパーの解除、②サスペンションに蓄えられたエネルギーによりわずかに分離、③各モジュールの移動、接続手順は、①相対位置の把握、②ロール軸方向の位置合わせ、③接近接続 でありシンプルな手順とする。ただし、センサの計測精度とモジュールの微小移動性能が十分得られない可能性があるため、連結機構の大きさも含めシミュレーションによる検証及び各手順における制御プログラムを作成する。 脱着機構を搭載するロボットは試作機の設計製作時間を短縮するためロボットプラットフォームを用いる。また、基本センサシステムに開発中のセンサシステムを統合しセンサシステムの開発も進める。 設計した脱着機構及びセンサシステム及び制御回路を実装したモジュールを製作し、脱着性能の検証を行い必要に応じて改良する。したがって、平成30年度は脱着機構とセンサシステムの設計製作及び制御方法の検討に注力する。その後、確立した機構とシステムを小型化しモジュールロボットとする。この際、移動方法についてシミュレーションにより検討する。はじめに多関節にオムニホイールを組み合わせたロボットを構成する。これは多関節による狭隘空間や屈曲空間での移動方向性能に期待できかつオムニホイールによる高速移動性能と位置補正機能を期待したものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、脱着機構の試作開発費として使用予定であったが、計画通り研究が進まなかったためである。脱着機構の設計に関して、当初予定していた機構の設計が実現に対して課題が発見されたため、検証実験を実施し当初計画よりも詳細設計が遅れてしまった。したがって、使用計画としては、次年度において計画通り試作開発費として予定している。また、翌年度分として請求した助成金に関しては、大幅な変更は予定していないが、試作機としてロボットプラットフォームを利用する予定である。これにより脱着機構とセンサシステムの設計製作及び制御方法の検討に注力する。
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