モジュール型狭隘空間探査ロボット開発の課題は、モジュールの自動脱着機構の確立と相対位置関係の把握、遠隔操作から自動化まで見通した脱着を繰り返す移動方法の確立である。前年度までのモジュールの全体設計及び試作ロボットの製作を踏まえ、実証実験により評価を行った。また、最終年であることから研究を総括した。 実証実験のための実験環境は比較のためシミュレーションと同条件とし製作した。モジュール接続時のタイヤの滑りによりセンシングシステムによる自己位置推定と地図生成の精度が低下し、想定する狭隘空間での実験において無視できないほど制御に影響を与えることが予備実験により判明した。そこで、移動性能の評価を優先して行うため、制御に影響を与えない程度の空間を確保した実験環境とした。 実証実験について、脱着方法を含む移動方法を製作したモジュールに実装し移動性能を評価した。評価は、モーションキャプチャによりモジュールの動作を測定し行った。実験結果を踏まえ、制御アルゴリズムの確立、制御条件の最適化を探るとともに問題点の洗い出しを行った。実証実験では、シミュレーション実験同様、モジュールは距離センサ(LiDAR)をはじめとするセンシングシステムにより環境地図を構築し、接続対象のモジュールの相対位置を把握し、モジュールの移動およびモジュールの自動接続を実現した。また、分離及び目標位置までの単体移動についても実現した。しかしながら、自己位置推定精度の低下により接続に失敗する場合も見られたため、精度向上及び制御アルゴリズムの改良が必要である。 研究総括として、自動脱着機能を有するモジュール型の狭隘空間探査ロボットの開発を目的としてモジュールの脱着機構の設計製作、モジュールの相対位置測定のためのシステムの構築、モジュール脱着及び移動方法の確立の3項目について、試作したモジュールにより実現した。
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