研究課題/領域番号 |
17K06283
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
北川 秀夫 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80224955)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 全方向移動 / 誘導制御 / ユーザーインターフェース |
研究実績の概要 |
屋内環境での移動,ベッドへの幅寄せ,作業を行いながらの横移動等に有効な全方向移動車いすの開発を行っている.しかし,人や障害物との衝突をいかに安全かつ自然に回避するか,介助者が車いすを押して動かす際にいかに意図通りの全方向動作を実現し,障害物回避と組み合わせるかといった点に課題が残っている.特に,ドア等の狭所通過時には,操作者(搭乗者または介助者)の意図に反する動作が生成されてしまう問題がある.本研究ではこれらの課題を解決し,搭乗者にとっても介助者にとっても安全で,かつ操作性の良い全方向移動車いすを開発することを目的とする. 測域センサ(レーザ式全方向距離センサ)で計測した周囲の距離データに基づいて,速度指令ジョイスティックのインピーダンスを変化させた.搭乗者がジョイスティックを倒そうとした瞬間にその方向を検知して,移動方向の車いすの速度成分及び障害物との距離からジョイスティックのインピーダンスを車いす全体の形状も考慮して決定している.これにより,障害物のある方向に対しては移動指令を出すことが困難になっている. 障害物のない方向へ自然と車いすを移動させるため,誘導制御のアルゴリズムを構築した.障害物回避に必要となる角度,角速度を求め,その値によってジョイスティックのインピーダンスを変化させることで接近速度を調整する. また,介助者の換作入力を車いすのハンドグリップに設置した6軸力覚センサで計測し,実際に車いすで前後,横,斜め方向並進,定点転回の動作を行い,加えられた力及びモーメントを学習させた. さらに,被験者による評価実験における安全性を確保するため,小型の全方向移動ロボットシステムも構築し,入力パラメータの調整を行った.計測したロボット周囲の距離データに基づいて障害物の位置を推定し,速度指令入力デバイスのインピーダンスを変化させている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的なアルゴリズムの動作確認は実施している. 被験者による評価実験は今後実施するが,被験者による評価実験の安全性を確保するため,当初の計画に加えて全方向移動ロボットの制御システムを予備実験用に立ち上げた.さらにこのシステム上での実験を追加で実施し,提案システムの有効性を確認している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は誘導制御による障害物回避実験を継続し,特に回避時における車いすの挙動を検証するとともに,搭乗者の快適性を評価するためにモーションセンサにより頭部,胸部等の挙動を測定する.十分な結果が得られない場合は,パラメータの調整を行う.それでも十分な結果が得られない場合は,アルゴリズムの改良を行うとともに,ハプティックジョイスティックの再設計・製作を行う. 次に,目的地が設定された場合の誘導制御実験を行う.危険回避のために障害物回避動作の優先度を高くして,その上で目的地への誘導制御を行う.障害物回避の瞬間等いくつかの動作時に分けて,車いすの挙動を検証するとともに,モーションセンサにより搭乗者の頭部,胸部等の挙動を測定・解析する. さらに,搭乗者の操作性を評価するために,SD法・NASA-TLX法等による主観評価を行うとともに,入力デバイスの動きを解析する.目的地と障害物の位置関係による違いを解析し,必要があればアルゴリズムの修正を行う.
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