研究課題
近年,風力発電所はコスト面から,大型の風力発電機を多数併設して大規模化する傾向にある.大規模風力発電事業者は送配電事業者に系統連系規定より変動の小さい電力を契約した電力量送電する必要がある.系統連系規定によると大規模風力発電事業者には蓄電池を併設して安定な電力供給が求められている.風力発電事業者としてはこのような付帯設備は極力小規模に抑えてコストダウンをしたいと考えている.日本では電力自由化をうけて発電部門,送配電部門,小売部門に分けられた.現在,電力は総需要の40%が卸電力市場で取引されるようになった.卸電力市場は,先渡し市場,1日前市場,当日市場,そして掲示板市場にわかれている.大規模風力発電事業者は,1週間以上前に正確な発電電力量を予測ができないので,1日前市場で予測に基づく発電電力を取引し、当日市場で時間ごとの天候などによる過不足の発電電力を取引することになる.本研究では、永久磁石式同期発電機(PMSG)を備えた風力発電機の予測回転速度から平均発電電力を推定し,これを目標電力とすることで,変動する風力発電機の出力を安定化するとともに発電電力量の維持を目的とする手法を提案する.提案手法は,粒子フィルタ法を用いて風力発電機の回転数を予測している.ここでは、極端な解析条件として,蓄電池を併設せずに,風力発電機の慣性エネルギーに電力を蓄積する方法で本手法の有効性を検証した.結果として,出力平均追従運転より発電量の低下を抑制しつつ,系統の周波数の変動を十分低い出力変動に抑える期待が得られた.今後の課題としては,様々な風況で効果を検証し,提案手法の最適な設計方法について検討することにある.
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