超超短パルス電場によるがん治療を実現するための高周波バーストパルス高電界発生装置の開発を行った。これまでの研究で,可飽和リアクトルの磁気飽和を利用した磁気スイッチ型非線形伝送線路によるバーストパルス発生装置を開発している。この装置は線路のLC回路により,LC段数分の独立したパルスを連続で出力することが可能であり,そのLC振動の周波数成分を強く持つバーストパルスを出力することが可能である。 そこで,磁気スイッチを用いた非線形伝送線路により複数の単一パルスを連続的に出力するバーストパルス発生器を同軸構造とすることで,周波数を13MHzから150MHzに増加させた。そしてバーストパルスをがん細胞に適用すると,同じ条件下では単一パルスよりも細胞死が起きることを示した。 しかし,単一極性のパルスを連続出力すると,そのパルス列数に起因した低周波成分が表れる。そうすると,バーストパルスに目的の周波数成分だけでなくそれよりも低周波の成分も重畳してしまい,単一周波数ではなくなり電磁波の送信効率が落ちてしまう。また,細胞への周波数の効果を見る上でも2つの周波成分が重畳してしまうことにより,どちらの周波数が細胞に影響を与えているのかわからなくなってしまう。そこで,我々は磁気スイッチ型NLTLにより単一の周波数成分のみを持つ両極性のバーストパルスを発生する回路を開発した。 そして,単極性と両極性のバーストパルスを細胞に印加した場合の細胞死割合の違い,単極性バーストパルスに含まれる低周波成分が細胞死に与える影響について調べた。結果,単極性バーストパルスに2つの周波数の重畳が細胞死を起こすのに効果的であることを示した。
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