研究課題/領域番号 |
17K06300
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松尾 哲司 京都大学, 工学研究科, 教授 (20238976)
|
研究分担者 |
藤原 耕二 同志社大学, 理工学部, 教授 (20190093)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 電気機器工学 / 電気電子材料 / シミュレーション工学 |
研究実績の概要 |
(1) 歪みゲージを用いた印加応力の算定 円盤試料と圧電フィルムを用いたベクトル磁気特性計測システムにおいて,歪みゲージによる計測を追加することにより,フィルムへの印可電圧と印加応力との関係が算出可能になった。これにより,別の応力印加測定装置との結果比較をせずに印加応力を算定できるようになった。構築した測定装置により,新たな無方向性電磁鋼板の応力依存磁気測定を実施した。 (2) ピンニング磁界分布同定手法の改良 ベクトルプレイモデルの同定法を利用してピンニング磁界分布を同定する手法を開発した。この手法により,磁区モデルに用いるピンニング磁界を試行錯誤的な推定手法によらずに,無応力時の磁気測定結果から直接算定することができる。前年度までに開発したストップモデルを用いる方法と比較して,集合磁区モデルにおける応力特性の予測精度を向上させた。すなわち,材料定数と,無応力時のBHループの測定結果を用いて,応力印可時の磁気特性を予測することが可能になった。 (3) 等価応力モデルの検証 前述の(1)実験的手法および(2)数値計算手法により,等価応力モデルの検証を行った。前年度まで用いていた簡易的な等価応力モデルに加えて,より詳細な等価応力モデルを検討した。等価応力モデルにより,別方向に応力が印可される場合の磁気特性をある程度予測可能である。詳細モデルにより,励磁方向とは異なる印加方向の応力効果の評価精度が向上することを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和元年度,企業在籍の研究協力者の社内の配置替えにより,材料特性の測定への協力が得られなくなった。先方との交渉により,測定装置の譲渡が可能になったが,譲渡の手続きの関係上,装置の運搬が遅れて令和2年度にずれ込むことになった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長して研究を続行する。前述の譲渡予定の測定装置を構成しなおして磁気計測を行い,下記を継続して行う。 (1) 二方向応力下でのベクトル磁気特性の計測と等価応力モデルの開発 前年度に引き続き,二方向に圧縮/引張り応力を印加可能な計測システムを構築する。その測定結果を用いて,二方向応力印加に対応した等価応力モデルを開発する。前年度までに検証した一方向応力に対する等価応力モデルの理論をベースとし,二方向応力印加時の結果により検証する。 (2) 磁界解析に適した応力依存ベクトルヒステリシスモデルの開発 これまでに得られた応力印加時のベクトル磁気特性の計測結果および計算結果から,磁界解析に適したベクトルヒステリシスモデル(現象論的モデル)を開発する。ベースとなるヒステリシスモデルとしてプレイモデルを用い,等価応力モデルを組み込んだ簡潔な応力依存モデルの開発を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前述の理由で計測装置の輸送が遅れたため磁気計測を令和2年度に延期し,成果発表も令和2年度に行う必要があり,研究期間を延長したため。
|