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2017 年度 実施状況報告書

電磁界数値解析のための高速疎行列計算技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K06301
研究機関京都大学

研究代表者

美舩 健  京都大学, 工学研究科, 講師 (20362460)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード数値電磁気学 / 有限要素法
研究実績の概要

平成29年度には,(1)近似的な固有ベクトル推定による疎行列線形反復解法の高速化,(2)辺要素電磁界解析への幾何的ブロック対角前処理法の応用,(3)陰的誤差修正法の理論的基盤の見直し,のそれぞれについて研究に取り組んだ.
(1)当初の計画に基づいて,陰的誤差修正法のアルゴリズムにおいて,従来と同様に誤差ベクトルをそのまま用いた上で,反復の最後に得た近似解ベクトルをこれに加えて,固有ベクトル推定を行う方法について検討した.結果として,近似解ベクトルの追加の効果は小さく,誤差ベクトルのみに着目する従来の考え方の妥当性が支持された.さらに共役勾配法のアルゴリズム中に現れる方向ベクトルの利用についても検討し,誤差ベクトルのみを用いる場合と比較して収束性改善効果を向上できる可能性を確認した.
(2)当初は平成30年度以降に計画していた,幾何的ブロック対角前処理法の有効性に関する理論的・数値的検討を進めた.既に得ていた2次元辺要素解析における理論的成果をより整理し,幾何的ブロック対角前処理法を適用した際の行列の固有値・固有ベクトルの全てを理論的に明らかにした.加えて,マルチグリッド法と連携する求解手法が極めて高い有効性を示すことを数値的に確認した.さらに3次元辺要素解析の場合についても検討を行い,幾何的ブロック対角前処理法が理想的な収束性改善効果を示すことを数値的な固有値解析によって確認した.
(3)当初の計画には含めていなかったが,陰的誤差修正法の理論的基盤の一部についての見直しに取り組んだ.反復求解法の収束を阻害する成分の個数よりも少ない数の補助ベクトルによる誤差修正の効果について,基礎的な検討を進めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)「近似的な固有ベクトル推定による疎行列線形反復解法の高速化」については,おおむね計画通りに研究を遂行した.関連して平成29年度に計画していた「誤差修正アルゴリズムの改良」については,次年度以降に予定を遅らせたが,平成30年度に予定していた(2)「幾何的ブロック対角前処理法の有効性に関する理論的・数値的検討」について計画以上の進展が得られたため,全体としての進捗は順調と判断している.さらに当初の計画には含まれていない検討についても,並行して取り組んでいる.

今後の研究の推進方策

平成30年度以降も,(1)近似的な固有ベクトル推定による疎行列線形反復解法の高速化,(2)辺要素電磁界解析への幾何的ブロック対角前処理法の応用,(3)陰的誤差修正法の理論的基盤の見直し,について並行して研究を進める.
また当初の計画に直接的に含めていないテーマについても,「電磁界計算における疎行列計算」の枠組みで適宜研究課題として組み入れることを検討していく.

次年度使用額が生じた理由

コンパイラ等のソフトウェアライセンス,PCの今年度内の購入を見送ったため,次年度使用額が生じている.研究を遂行する上での各種ソフトウェアライセンス,ノート型を含む複数台のPCの必要性は減じていないので,次年度以降の購入を計画している.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Geometric Block Diagonal Preconditioning Technique for Electromagnetic Finite Element Analysis Using Voxel Mesh2018

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Mifune
    • 学会等名
      SIAM Conference on Parallel Processing for Scientific Computing
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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