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2022 年度 実績報告書

有機スピンゼーベック素子の創成

研究課題

研究課題/領域番号 17K06303
研究機関九州大学

研究代表者

山田 和正  九州大学, 理学研究院, 助教 (30380562)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード廃熱利用 / スピン / カーボン
研究実績の概要

モバイルコンピューティングおよびユビキタス社会実現のために、温度差を利用した環境発電が期待されている。実現する一つの方法としてスピンを利用したスピンゼーベック効果が近年発見された。しかし、熱伝導率の大きな無機材料を使用しているため、無駄に熱を伝えるため、効率が良くない。そこで、性能向上のため、有機をスピン伝導層として使用する有機スピンゼーベック素子を提案する。有機はスピン緩和長が長く、よくスピン流を伝達するこができる。有機を使うことで、重金属などの使用を減らし、環境負荷を下げることができると期待される。
本年度、有機材料として安価に成膜可能なアモルファスカーボン(aC)を、強磁性層としてCoFeAlを、スピン流電圧変換層としてPtを選び、Pt/aC/CoFeAlの3層構造を作成した。CoFeAlを交流によりジュール加熱し、生じた温度勾配から電圧を発生させた。第二高調波信号電圧の磁場依存性を測定した。加熱電力依存性を測定したところ、発生電圧は、加熱電力に比例し、熱勾配に比例していることが分かった。発生電圧の磁場角度依存性を測定した。発生電圧の角度依存性の解析などから、CoFeAlとaCの温度差から熱スピン流が生じ、Pt層の逆スピンホール効果により電圧に変換させることができたと結論した。有機スピンゼーベック素子の創成という本研究の目標を実現できたといえる。
比較的厚いaC膜を持つ同様な3層構造においては、同様な発生電圧は観測されなかった。aCは多数のダングリングボンドをもつため、スピン緩和長は短く、スピン流を長距離に伝達できなかったためと考えられる。今後の課題として、aCのアニールによりダングリングボンドを減らしスピン緩和長の伸長により性能を向上させることと、発生電圧に対する強磁性CoFeAl層の異常ネルンスト効果の寄与の分離することの二点が挙げられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] マルチフェロイク構造と磁気熱電効果を用いた強誘電体基板の熱伝導率の測定2022

    • 著者名/発表者名
      小谷悠太,井上建吾,一兜博人,胡少杰,大西紘平,山田和正,木村崇
    • 学会等名
      日本物理学会 第128回九州支部例会

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公開日: 2023-12-25  

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