研究課題/領域番号 |
17K06304
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
高 炎輝 佐賀大学, 理工学部, 助教 (40586286)
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研究分担者 |
村松 和弘 佐賀大学, 理工学部, 教授 (30263627)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 異常渦電流損 / 飽和 / リアクトル / 鉄損 / 積層鉄芯 |
研究実績の概要 |
平成30年度は,まず,平成29年度に開発したピンニング効果による磁壁のボウイングを考慮した非線形渦電流解析法を担当者らが開発済みの「鋼板中の渦電流を考慮した積層鉄芯の磁界解析法」に実装し,異常渦電流と鉄芯の積層構造を考慮した磁界解析をインバータ電源用無方向性電磁鋼板を用いたリアクトルに適用した.得れた磁束分布を用いてリアクトルの鉄損を評価した結果,ピンニング効果により鋼板中のヒステリシス損と渦電流損が大きくなり,全体の鉄損値は約8%を増加した.また,磁束密度が飽和する高磁束密度の時,無方向性電磁鋼板の異常渦電流損の発生要因を鋼中析出物及び表面の粗さ(凹凸)で説明できなかったため,その要因を面内渦電流に想定し,三次元非線形渦電流解析を用いて鉄損の周波数特性のカタログ値を測定するためのエプスタイン試験器のラップ接合部に発生する面内渦電流がエプスタイン試験器の鉄損測定精度に及ぼす影響を検討した.その結果,面内渦電流による渦電流損が全体の鉄損と比べると極めて小さいため,異常渦電流損の要因ではないのがわかった.なお,磁束密度が飽和する高磁束密度の時の無方向性電磁鋼板の回転ヒステリシス損と渦電流損の簡易モデリング方法を提案した.また,方向性電磁鋼板を用いたインバータ電源用リアクトルの鉄損解析を行ったとともに鉄損を低減するため,鉄芯全体で磁束が圧延方向に向くような鉄芯角部と接合部の鉄芯構造を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は,異常渦電流と鉄芯の積層構造を考慮した磁界解析を確立したとともに実機への適用を行った.また,磁束密度が飽和する高磁束密度の時,異常渦電流損の発生要因と考えられる面内渦電流についての検討を行った.さらに,方向性電磁鋼板を用いた実機の鉄損解析も行った.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年は,磁束密度が飽和する高磁束密度の時,異常渦電流損の発生要因と考えられる面内渦電流についてのさらなる検討を行うとともに方向性電磁鋼板を用いたインバータ電源用リアクトルに発生する面内渦電流を考察する.また,高周波領域で使用可能の単板磁気試験器の試作、高周波領域での鉄損測定、極低周波数領域でのマイナヒステリシス曲線の測定とヒステリシス曲線のモデリング手法を開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
H30年度に高周波領域で使用可能の単板磁気試験器の試作、高周波領域での鉄損測定、極低周波数領域でのマイナヒステリシス曲線の測定を予定したが,測定装置の試作できず,測定もできず,次年度使用額が生じた. 三次元解析を行うための専用の計算機を購入する,また,試験用消耗品費と調査研究や成果発表のための旅費として使用する予定である.
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