研究課題
令和元年度は,磁区幅が小さい無方向性電磁鋼板の異常渦電流損を説明するため,電磁鋼板の異常渦電流損の発生要因の一つである磁壁移動に伴う異常渦電流損を計算するため,磁区構造を周期的な一次元モデル(Pry and Bean model)と仮定し,現有の1次元簡易磁区モデルを三次元数値解析モデルに改良し,磁壁の移動による渦電流損を評価し,古典渦電流損に対する増加割合を検討した.平均的な粒子の大きさと磁区幅を与えて得られた異常渦電流損は,古典渦電流損の約14%程度になることがわかった.また,上記異常渦電流損のモデリング方法を用いて,磁区幅及び磁区の方向のばらつきが異常渦電流損に及ぼす影響を検討した. その結果,増加割合が最も大きいのが磁区方向の変化によるものがわかった.しかしこの際,磁束が磁区方向成分のみ発生し,直角方向成分は零になると仮定し,計算結果が過大評価になると考えられるため,磁区の方向のばらつきが異常渦電流損に及ぼす影響をより詳細に検討した.その結果,磁区の方向のばらつきによる鋼板中の磁束分布の不均一性が確認され,磁区の方向のばらつきを考慮した提案法では,線形及び非線形渦電流解析において,どちらでも渦電流損が約20%増加しており,それによって異常渦電流損が説明できることがわかった.さらに,方向性電磁鋼板を用いたインバータ電源用リアクトルに発生する面内渦電流を渦電流解析により考察した結果,面内渦電流による渦電流損が全体の鉄損と比べると極めて小さいため,異常渦電流損の要因ではないのがわかった.
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IEEE Transactions on Magnetics
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