研究課題/領域番号 |
17K06306
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
浜崎 真一 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (80363472)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | パワーエレクトロニクス / インバータ / マルチレベルコンバータ / 系統連系 |
研究実績の概要 |
本研究は,三相AC/AC変換のための新しい変換回路構成である六角形モジュラーマルチレベルコンバータ(H-MMC)を応用し,電力系統安定化のためのループパワーコントローラ(LPC)に適用した新しいシステムの制御方式についての研究である。昨年から進めているH-MMCを接続したLPC送電ラインのモデル化を用いて,有効・無効電力を送受電する制御方式,およびH-MMCに組み込んだ蓄電装置による電力充放電の制御方式について,これらを連携させる制御方式を提案し研究を進めた。1次側フィーダと2次側フィーダの末端同士の間で相互にやり取りする基本的な有効電力および無効電力の流量制御と回路内に付加した蓄電システムの電力補償による末端の電圧バランスをとる制御について,いくつかの典型的なケースを想定したシミュレーションを行い,提案方式が適切に動作することを確認した。さらに実験検証を行うための装置の構築を進めた。実験装置は半導体デバイス(IGBT)を用いた電力変換器(セル)による主回路部分とDSP,FPGAを用いたディジタル制御装置による制御プログラム部分があり,主回路のセルは,H-MMCに用いる最大12セル接続の構成で,それに必要なリアクトル,キャパシタ,抵抗,および電圧・電流の各種センサを接続している。制御プログラムは,FPGA側でマルチレベル出力PWM制御用の三角波シフトを適用したプログラムと蓄電装置部分のPWM制御プログラムを作成し,DSP側でそれ以外の有効電力制御など全ての制御部分を行うための制御プログラムの開発を進めた。今後は,これらの主回路とプログラムにより実験を行い,シミュレーション結果と比較しながら検証を進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従い,提案するH-MMCを用いたLPCシステムのモデルを利用し,シミュレーションにより制御方式の動作検証を進めた。初年度に行った基本的なセルのコンデンサ電圧一定制御,有効・無効電力の流量制御,および蓄電装置を接続したシステムの有効電力の制御を連携して総合的に制御する方式について,性能向上のための制御方式の改善と電力流量を制御して系統電圧のバランスをとるための典型的なケースを想定したシミュレーションを行い,適切な動作となることを確認した。 さらに実験検証を行うための実験装置の構築を進め,主回路部分・センサ部分の作成とプログラムの開発を行い,実験検証を開始している。今後は実験を進め,シミュレーションとの比較による検証や細部の改善を行う予定であり,おおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
提案したH-MMC構成によるLPCの制御方式および蓄電システムを接続した場合の電力平準化制御について,引き続き実験検証およびシミュレーションとの比較検証を進める。 構築した実験システム(主回路,プログラム)を用いてH-MMCの制御によるLPCの基本動作と制御性能の確認を行い,その後,性能評価試験を行う。性能評価試験として,シミュレーションと同様の条件に基づくLPCの入力側の電圧変動,出力側の負荷変動の試験,系統連系接続による試験などを行い,提案方式の有効性を検証し,必要に応じて制御プログラムの改善を行いながら,その成果をまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 計画的に使用したが,わずかに残額が生じた。 (使用計画) 実験装置を作製する際の電子部品を購入するために使用する。
|