研究課題/領域番号 |
17K06308
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
戸高 孝 大分大学, 理工学部, 教授 (50163994)
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研究分担者 |
佐藤 尊 大分大学, 理工学部, 助教 (90647554)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電気機器工学 / 電子・電気材料 / 磁性 / 計測工学 / 金属物性 |
研究実績の概要 |
本研究では,低鉄損磁性材料を用いた軽量・高効率モータの開発支援技術の構築を目的として,薄帯磁性材料の巻鉄心カットコアを利用したステータモジュール型ラジアルバーニアモータを開発する。超急冷法で製作される薄帯状の低鉄損磁性材料は,その低い加工性やモータ形状での熱処理の困難性から,現状の積層型ラジアルモータコアに置き換えることが難しい実状がある。そこで,薄帯磁性材料を有効活用できる構造での加工・組み立てを実現するための技術開発と実証に向けて以下の検討を行った。①応力依存磁気特性の正確な把握とシミュレーション技術の構築,②低応力加工技術の開発,③応力制御焼鈍技術の開発。④試作機の製作による実証。 平成30年度は,①初年度に得られた応力依存磁気特性の測定結果を基に応力下磁気特性のデータベース型モデリングを開発した。数値モデルを独自開発の有限要素解析コードに組み込むことで,モータの鉄損評価の精度が向上出来ることを示した。今後,非線形計算アルゴリズムを導入し,より実用的な手法への改良を行う予定である。並行して,ステータモジュール型バーニアモータの概要設計を行い,アモルファス磁性材料を用いた場合の低損失化を検証し,国際会議(INTERMAG2018)ならびに国内会議(MAGDA2018)等で発表した。 また,②低応力加工技術の開発のため,形状や径を変えた巻鉄心材と500℃以上の耐熱性をもつ接着剤を用いた接着積層材の磁気特性を評価し,各種整形条件での残留応力の影響や熱処理の有無による磁気特性の変化を明らかにした。さらに,③巻鉄心や単板並びに積層材に対して応力下・磁場中熱処理を行って得られた磁気特性を評価し,磁気異方性の発現ならびに磁気特性の改善方法を明らかにした。以上の結果を基に,④試作するステータモジュール型バーニアモータの仕様を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発するステータモジュール型バーニアモータは,薄帯状の低鉄損磁性材料で作製した分割コアを利用することで,効率よく磁気変調を行い所望の空間高調波を発生できることから,高トルク化や高速運転時の鉄損低減による高効率化が期待できる。また,カットコアの利用により,組立前に焼鈍ができること,モジュール化により製作工程が簡易になるなどの利点がある。 ステータモジュール型バーニアモータに適用する薄帯磁性材料の磁気特性を有効活用できる構造での加工・組み立てを実現するための技術開発として,①独自開発の電磁界解析ソフトを用いて,カットコアの配置や材料の磁気特性がモータ効率に与える影響を明らかにした。また,②低応力加工技術の開発のため,アモルファス積層試料に対する高周波励磁が可能な磁気試験器を設計・製作し,接着積層時の磁気特性やそれらの試料の磁場中熱処理効果を明らかにした。さらに,巻鉄心コアを用いて曲げ応力下の磁気特性を測定し,磁気特性を改善するための磁場中熱処理条件を明らかにし,国際会議(INTERMAG2018)で報告した。 加えて,③応力制御焼鈍技術の開発に向けて,応力下・磁場中熱処理を行い,無方向性電磁鋼板とアモルファス磁性材料の磁気特性の回復や改善について得た知見を,同国際会議等で報告した。④試作機としては10Nmの平均トルクを目標値とし,試作するステータモジュール型バーニアモータの詳細な仕様を決定した。
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今後の研究の推進方策 |
①応力依存磁気特性の測定結果を基に現状のデータベース型モデルを改良し,より効果的な応力下磁気特性の数値モデリングを構築する。また,高速演算化のため非線形アルゴリズムが適用できるようにする。さらに,電圧源を考慮した解析を可能とし,鉄心の形状や磁気特性の変化による励磁巻線のインダクタンスの影響を考慮した設計ができるようにする。 ②低応力加工技術の開発のため,初年度から行っている形状や径を変えた巻鉄心材と接着積層材の磁気特性評価を継続し,各種整形条件での残留応力の影響を明らかにするとともに,最適な磁場中熱処理条件を明らかにする。 ③巻鉄心や単板並びに積層材に対して応力下・磁場中熱処理を行って得られた磁気特性変化に関する実験結果を分析し,磁気特性の制御方法を明らかにする。また,接着剤の種類,接着方法や接着用熱処理雰囲気の影響も合わせて検討を行い,最適な条件を明らかにする。さらに、磁区などの微細構造の観察や熱力学的理論の考察を基に,磁気異方性の発現に関する理論検証を行う。 ④以上の開発した技術や知見を基に,ステータモジュール型バーニアモータを試作し,無負荷ならびに負荷特性試験を行い,設計で予測した解析結果と比較検証を行う。
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