研究課題/領域番号 |
17K06310
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
森本 茂雄 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00210188)
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研究分担者 |
井上 征則 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50580148)
真田 雅之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90264803)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シンクロナスリラクタンスモータ / センサレス制御 / パラメータ同定 |
研究実績の概要 |
本課題に関連する研究資料として,磁気突極性を有するモータ(シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)や埋込磁石同期モータ(IPMSM))における位置・速度推定法、パラメータ推定法、高効率制御法などについて、電気学会やIEEEなど関連する国内外の学会、研究会の論文・資料等を収集して、各種手法について整理・分析を行った。 SynRMの位置および速度をモータの電圧および電流より推定する手法を検討した。具体的には、停止時における初期位置推定および低速時の運転においては、高周波電圧を印加することによりSynRMの磁気突極性を利用して位置推定を行う手法を、中・高速時においては、拡張誘起電圧を用いて位置・速度を推定する手法を適用した。これら2つの推定法を速度域に応じて使い分けることで全速度域での位置・速度推定を実現し、センサレス制御の性能をソフトウェアMATLAB/Simulinkを用いたシミュレーションで確認した。 磁気飽和を有するSynRMのモデルパラメータを逐次最小二乗法に基づくパラメータ同定アルゴリズムを使用して、オフラインおよびオンラインで推定する手法を検討した。特に磁気飽和で大きく変化するd軸インダクタンスについては、平均インダクタンスと局所インダクタンスを推定する手法を提案した。また、停止状態おいてインバータも含むSynRMドライブシステムの全モデルパラメータを推定する手法を提案した。提案したパラメータ推定法の特性をMATLAB/Simulinkを用いたシミュレーションで検証した。この成果の一部を電気学会全国大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究実施計画のうち、「関連研究資料の調査と整理・分析」、「位置・速度推定法の検討」、「シミュレーションによる検討」を予定通り実施できた。また当初予定していた「有限要素法を用いた磁界解析によるモータモデルの構築」については次年度実施することとして、代わりに次年度実施予定であった「モデルパラメータ推定法の検討」を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度実施した「位置・速度推定法の検討」および「モデルパラメータ推定法の検討」について、その精度向上のための検討を引き続き行う。その検討におけるシミュレーションでは、有限要素法を用いた磁界解析により得られたSynRMの磁気飽和や非線形性を正確に模擬できるモータモデルを使用できるようにする。また、SynRMの高効率運転を実現する条件を明らかにし、モデルパラメータを基にした最適電流ベクトル決定手法を検討する。 提案した位置・速度推定法、モデルパラメータ推定法および高効率制御法の特性を実機実験でで評価するための実験システムを構築し、各推定法・制御法を実験システム上に実装して個々の性能評価と改善を行い、アルゴリズムの改良を行う。 最終的には、上記の手法を全て組み合わせた自律調整型センサレスドライブシステムを検討し、実機実験により性能評価を行う。 得られた研究成果については、電気学会や関連研究会および国際会議で適時発表し、論文投稿も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた国際会議への出張について、次年度に回すこととした。また、シミュレーション用の費用(ソフトウェアとPC)の購入価格を低く抑えることができた。
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