前年度に引き続きプラズマ-超音波ハイブリッド処理におけるプラズマと超音波照射のハイブリッド方法の検討のための難分解性有機物処理実験を行った.昨年度は,電極径の違いによる放電に対する超音波照射の影響を調べ,直径0.1 mmの放電電極を用いた場合の超音波照射の有無での放電状態の観察を行ったところ,いずれも連続的な放電となり超音波照射の有無で大きな違いが見られなかったが,直径0.2 mmの放電電極を用いて実験を行ったところ,超音波照射がない場合には断続的な放電が観察されたが,超音波を照射することによって,連続的な放電に変化することが確認できた.本年度は超音波照射パルス放電の高速度カメラによる可視化を行い放電の様子を明らかにし,超音波照射により水中パルス放電が活性化することを示した.撮影条件はフレームレート:10000フレーム/秒,撮影間隔:100 μs,解像度:640×400,露光時間:97.59 μsとした.単独放電時において,放電電極先端に直径約0.3 mmの気泡とプラズマが生成されている様子が確認できた.また放電後には放電によって生成された残存気泡が確認できた.一方,超音波照射複合放電時において,放電電極先端に直径約0.6 mmのより大きな気泡とプラズマが生成され,気泡内をプラズマが進展する様子が確認できた.超音波照射時にプラズマ領域が拡大した要因として,超音波による減圧時に気泡径が拡大することによって,気相領域とその内部の換算電界が大きくなり放電が生成し易くなったことが挙げられる.さらには,超音波照射時に気泡の数は大幅に増加していた.プラズマが生成する気泡は沸騰,電気分解,水のプラズマ分解のいずれかのメカニズムに基づく.超音波によりプラズマ領域が拡大活性化することから,プラズマによる気泡生成が促進され気泡の数がさらに増加するものと考えられる.
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