研究課題/領域番号 |
17K06312
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
柴 建次 東京理科大学, 基礎工学部電子応用工学科, 准教授 (10343112)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 2相 / 磁界強度 / 経皮トランス / 容量結合型無線情報伝送 / CISPR |
研究実績の概要 |
1.磁界放射を低減した2相経皮トランスの設計(電磁界解析) 送電コイル間の距離,受電コイルの埋め込み角度を変化させたときの,経皮トランスから3 m位置の磁界強度と伝送効率を電磁界解析した.その結果,コイル間距離が近い8 cmでは磁界強度を33 dBμA/mまで低下できることがわかった. 2.容量結合型無線情報伝送と電磁誘導の無線電力伝送の同時動作システムの設計・実測 電磁界解析ソフトを用い,1組の無線電力伝送用コイルと容量結合型無線情報伝送用電極の間の距離を離していったときのSN比を検討した.その結果,通信電圧のSN比は15 dBであり大きなノイズが混入することがわかった.通信周波数である2.4MHzだけを通過させるフィルタを通信用受電回路前段に挿入することでSN比はさらに大きく改善できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年目の実験まで先に行っているので順調である.
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今後の研究の推進方策 |
1.磁界放射を低減した2相経皮トランスの設計(電磁界解析)と実測 生体組織内で磁界が強まり,生体組織中に高い電力集中が生じる箇所がないか調べるため,体内のSAR(単位質量当たりの電力)と体内電界強度をFDTD法で解析し,ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の規制値と比較する.CISPR, ICNIRPの規制値を満たし,かつ,効率低下がない条件を見つける.さらには,磁界強度の正確な実測も行う. 2.生体組織やパッケージを含めた経皮トランスの等価回路の作成(絶縁皮膜) 経皮トランスの絶縁皮膜厚さが薄いと,容量結合が生じ,高周波漏れ電流が大きくなることがわかってきた.そこで,絶縁皮膜厚さを変えたときの,高周波漏れ電流と絶縁被膜の容量の関係を調べる.電磁界解析と実測を行う. 3.無線情報伝送と電磁誘導の無線電力伝送の同時動作システムの再評価 送電電極と受信電極を液体模擬生体中に浸し,受電コイルと送電コイルを模擬生体の近くに置いて,まず,1相無線電力伝送と情報伝送の同時動作実験を行う.シールド布やインバータ回路のノイズレス化などの電磁ノイズの影響を減らす工夫も行う,昨年度2.4MHzの容量結合通信では成功しなかったため,一般的な無線通信が同時にできるかどうかをも認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
他のプロジェクトの測定器や回路基板を借りて使うことができたものがあるため予算が残ったが,本年度は借りられないため必要な測定機(50万円以下)や電子部品基板を購入し予算を使う予定である.
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