研究課題/領域番号 |
17K06313
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
堺 和人 東洋大学, 理工学部, 教授 (40377099)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 省エネルギー / 高効率 / 可変速 / 極数変換 / 相数変換 / マルチインバータ / 制御 / 共振 |
研究実績の概要 |
平成30年度では省エネと特性向上方法として前年度で実現性や基本構成を検討した2つの新技術について研究を行った。1つめの技術の複数のインバータ(電力変換回路)と複数のコイルグループで構成されるマルチインバータモータは可変速運転における省エネのため回転速度に応じてモータの極数を変換する。①2個のインバータのシステムにおいて、回路・制御シミュレーション上で駆動制御回路を構成し、速度制御のシミュレーションによって極数変換前後の速度変動を把握できた。さらに発展させて、3グループの3相巻線を持つモータと、3つの3相インバータ回路が一体の構成としたモータシステムを検討した。3グループ間で3相電流位相を変化させることで3相の8極と4極の極数変換が可能になる。また、3グループの電流位相を全て異なる位相にすることで9相の8極と4極の極数変換が可能になる。シミュレーション上で3インバータと3グループ巻線のモータを等価的に構成して、シミュレーションによって極数変換が可能であることが確認された。さらに9相にすることで極数変換時の速度変動の低減が確認された。②つぎに負荷量に応じて1台のモータでモータ動作と発電動作を同時に行うシステムでは、高速回転時の高効率化の新手法を検討した。新手法はモータ動作で必要なトルクの電流で発生する誘導電圧と発電動作で発生する誘導電圧を互いに逆位相になる様にすることで、高回転時の過電圧を抑制する弱め磁束制御電流を低減できて効率が向上する。2つめの技術として、モータ重量がエネルギー消費に影響する電気飛行機、自動車、ロボット等の移動体モータの省エネ化として、磁界共振結合の原理を用いて磁気回路の鉄心が不要となるモータにおいて、各極数における運転特性やキャパシタンスの運転特性への影響を磁界解析で検討した。極数によって周波数、磁気的結合が変化するため最適値があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
飛躍的な省エネルギーが最終目標であり、省エネルギーの方策として計画していたマルチインバータモータシステムにおいて、駆動制御の検討を行って速度制御特性と極数変換時過渡特性を得た。さらに発展させた3インバータと3コイルのモータシステムでは相数変換も可能とし、9相駆動では速度変動を低減できた。マルチインバータシステムの応用としてモータ動作と発電動作を同時に行う方法ではモータ動作と発電動作時の位相制御によって過電圧を抑制して損失を低減する等価的な弱め制御を提案し、磁界解析で有効であることを確認した。また、移動体のモータの軽量化による省エネルギーとして磁界共振結合の原理を用いて磁気回路である重い鉄心が無くても出力を発生できるモータにおいて、極数やキャパシタンスによるモータ特性への影響を明らかにした。 これらより現状では、計画以上の成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
マルチインバータモータシステムにおいて、物理的なモータを模擬できる磁界解析を用いて極数変換特性を検討し、さらに磁界解析上で駆動制御を行うことで実際のシステムを模擬できるものとして、極数変換や運転特性を検討する。また、実験モデルによる極数変換等の動作実験を行い、特性を検討する。さらには磁界共振結合モータでは、高速化による高出力や高効率について検討を進め、マルチインバータ化の構想も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が計画よりも進み、新たな知見や考えが得られとことからこれらの成果も取り入れた研究を行うため今年度購入予定の研究用品を見直して次年度に購入することにした。 次年度使用額は次年度の研究用品の購入に充てる予定である。
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