研究実績の概要 |
大学キャンパスの太陽発電, 研究室電力需要, 電気自動車の通勤・通学車両を例題としたシミュレーション解析およびHILS(Hardware-In-the-Loop Simulation)の総合試験を実施した。キャンパス既設の太陽光発電, 研究室分電盤, 電気自動車充電スタンドにそれぞれ設置された電力センサからの情報をリアルタイムシミュレータに収集・統合し, リアルタイムでのエネルギーマネジメント指令を電気自動車充電スタンドにシームレスに配信できる環境を構築した。他大学との遠隔制御試験を実施することで, 通信の相互運用性と機器のレスポンスを含む応答性が十分であることを確認した。電気自動車の, 1:通勤・通学用途での走行時の電力消費を加味した上で, 2:キャンパス太陽光発電と研究室電力需要に応じたスマート充電, 3:キャンパス周辺地域の電力系統・配電系統の状況に応じた機動的な充放電制御, をあわせて実施することで, 電気自動車の走行時以外の空き時間に建物のエネルギーマネジメントや電力系統・配電系統の電力品質維持に有効な貢献ができることを確認した。当初計画の構想外ではあるが, 台風被害による大学キャンパス停電期間に, 電気自動車から研究室への自立電力供給の実証試験を実施した。 多数台の電気自動車を接続した電力系統・配電系統のシミュレーション, HILS環境については, 外部機関との共同研究への展開が見られた。国内外で設立が検討されているDSO(Distribution System Operator)のアグリゲーション手法を取り込んだ配電系統HILSを実施し, その有効性を検証した。一方で, 電気自動車が電力系統・配電系統の状態を判断して, 充放電制御を自立分散的に実施する手法のシミュレーションも実施し, 集中型・分散型それぞれの電気自動車群の制御手法を確立した。
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