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2018 年度 実施状況報告書

グリッドシステムの連系拡大のための安定性の確保法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K06324
研究機関同志社大学

研究代表者

加藤 利次  同志社大学, 理工学部, 教授 (40148375)

研究分担者 井上 馨  同志社大学, 理工学部, 教授 (60343662)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードグリッド連系システム / 安定化制御法 / 受動性 / 安定性判別法 / 汎用シミュレーション / 周波数特性 / フィードフォワード制御 / ディジタル制御
研究実績の概要

本研究は平成29年度より3年間にわたる計画により構成され、(1)電力変換システムの高安定化制御法の開発、(2)安定性を確保したグリッド連系法の開発、および(3)グリッド連系システムの汎用安定性析法の開発を行うものである。平成30年度内においては(1)-(3)のすべての過程について研究を行い、以下のような成果を得た。
まず、(1)に関しては、受動性に基づく系統連系インバータの制御法の開発を行った。これは2つのステップよりなり、まず第1ステップで従来のフィードバック(FB)制御法により、適切な応答特性を持つようにFBゲインを設計する。次の第2ステップで、フィードフォワード(FF)ループを追加し、インバータの出力アドミタンスが受動的となるように、FFループの伝達特性を設計する。開発設計法により、全帯域を受動的とすることが可能となった。
次に(2)の安定性を確保したグリッド連系法として、単相では受動性に基づく安定性判別法が有用で有り、上記(1)で設計した制御パラメータにより、連系インバータを動作させて、受動的となって系統インピーダンスによらず安定であることを実験的に確認した。これに対して三相で送電電力および同期も含めた制御を考えると、インバータを受動的とする制御系の設計は困難である。そのためこの場合は、インピーダンス法により、一般化Nyquist安定条件(GNC)を満足させるような制御系の設計を検討中である。
また、(3)のグリッド連系システムの汎用安定性析法の開発に関して、すでに線形な電力変換器モデルの出力アドミタンスの周波数特性を汎用的に求めるためのシミュレータの開発を行っている。これを三相の送電電力および同期も含めた連系システムの周波数特性解析に適用するために、解析原理の拡張を行った。すなわち電力や位相計算のためにかけ算や正弦波関数等の非線形関数を含む系の動作点での線形化小信号モデルに適用可能なシミュレータの開発を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は平成30年度において、(1)電力変換システムの高安定化制御法の開発、(2)安定性を確保したグリッド連系法の開発、および(3)グリッド連系システムの汎用安定性析法の開発、以上の3過程について研究を行ったが、研究実績の概要にも述べたようにすべての過程においてすでに準備しておいた計画を基に、受動的な制御系の設計法および周波数特性解析シミュレータの開発ができており、しかも実験により安定性の確認もできている。現在では、それらを組み合わせて、シミュレーションおよび実験的に検証していくことを検討している。

今後の研究の推進方策

今後も本研究の3過程を並行して推進していく。最終年度において、開発した受動的な制御法による連系システムを複数台のインバータにより構成し、安定性の確保の確認をしていく予定である。また受動的な制御を単相インバータのみならず三相インバータにも適用していく。さらに連系システムの安定性解析に関して、開発シミュレータを活用して周波数特性による安定性解析を行っていくが、電力および同期制御も検討していくため、必要に応じて機能を拡張していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本研究において、受動的な制御系の設計法および周波数特性解析シミュレータの開発ができており、実験により安定性の確認もできている。現在、それらを組み合わせて、シミュレーションおよび実験的な検証を幅広く行うことを検討している。そのため、次年度使用額となった助成金と翌年度分として請求した助成金とを実験的検証のための電気電子部品の購入への使用を予定している。さらに設計システムとその実験結果を合わせて、当該助成金を国内外の学会での公表のために使用することを予定している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] LCLフィルタ付グリッド連系インバータシステムの受動性に基づく安定化制御の設計法2019

    • 著者名/発表者名
      加藤 利次, 井上 馨, 中嶌 勇介, 山本 悠暉
    • 雑誌名

      電気学会論文誌D

      巻: 139 ページ: 93~101

    • DOI

      https://doi.org/10.1541/ieejias.139.93

  • [雑誌論文] Simple and Effective Time Delay Compensation Method for Active Damping Control of Grid-Connected Inverter with an LCL Filter2018

    • 著者名/発表者名
      Semasa Masaki、Kato Toshiji、Inoue Kaoru
    • 雑誌名

      IEEJ Journal of Industry Applications

      巻: 7 ページ: 454~461

    • DOI

      https://doi.org/10.1541/ieejjia.7.454

  • [学会発表] 系統連系インバータのd-q小信号インピーダンスモデルの周波数解析2019

    • 著者名/発表者名
      大上 皓,加藤利次,井上 馨
    • 学会等名
      電気学会半導体電力変換モータドライブ合同研究会
  • [学会発表] Stability Analysis Methods of a Grid-Connected Inverter in Time and Frequency Domains2018

    • 著者名/発表者名
      Toshiji Kato, Kaoru Inoue, and Taiki Sakiyama
    • 学会等名
      The 2018 International Power Electronics Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Effective Time Delay Compensation for Control of Grid- Connected Inverter with LCL Filter2018

    • 著者名/発表者名
      Toshiji Kato, Kaoru Inoue, Masaki Semasa, and Naoki Minamino
    • 学会等名
      IEEE 19th Workshop on Control and Modeling for Power Electronics(COMPEL)
    • 国際学会
  • [学会発表] インバータの制御演算遅れ時間の補償法の検討2018

    • 著者名/発表者名
      南野暢基・加藤利次・井上馨
    • 学会等名
      平成30年電気学会産業応用部門大会
  • [学会発表] 受動的な系統連系インバータの並列接続による安定制御法2018

    • 著者名/発表者名
      山本悠暉・加藤利次・井上馨
    • 学会等名
      平成30年電気関係学会関西連合大会
  • [学会発表] パワーエレクトロニクス回路のスイッチ感度を考慮した周期定常解析法2018

    • 著者名/発表者名
      博多秀矩・加藤利次・井上馨
    • 学会等名
      平成30年電気関係学会関西連合大会
  • [学会発表] インバータのディジタル制御における遅れ時間の補償法の検討2018

    • 著者名/発表者名
      南野暢基・加藤利次・井上馨
    • 学会等名
      平成30年電気関係学会関西連合大会

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公開日: 2019-12-27  

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