自然エネルギー発電平準化と負荷平準化システムの構築に必要な蓄電池にEVやPHVを利用するV2H(Vehicle to Home)やV2C(Vehicle to Community)が注目されているが、ワイヤレスでこれを実現すると利便性の向上に加え、蓄電池を最大利用できる。近年開発したシンプルで低コストのシングルエンデッドインバータでワイヤレスV2Hを実現する技術をV2Cに展開する上で複数のEVやPHVと平準化システムの相互電力融通の制御が複雑になることが課題になる。そこでシームレス双方向伝送で疑似並列接続できるシングルエンデッド式ワイヤレス給電装置の技術を構築し新しいワイヤレスV2X(V2HやV2Cなどの総称)システムを低コストに実現することで低炭素化と電力コスト抑制に貢献する。 2022年度は、本開発装置に適合する高耐圧SiCーMOSFETとして協力関係にある産業技術総合研究所が開発した高耐圧・低オン抵抗のVトレンチ構造SiC-MOSFETの適用を検討し駆動回路や実装技術の改善によりワイヤレスV2Xにおける高周波コンバータの大幅な低損失化を実現した。さらに今後の展開に備えてさらなる小型化を実現するため目標の85kHzを大きく超える200kHzの高周波無線給電装置の基礎開発も行った。シングルエンデッド式ワイヤレスV2H装置のデュアルアクティブ運転について、2021年度に開発した3つの制御方式の中から本開発技術の主たる適用分野である電気自動車とスマートハウスへの整合の点からキャパシタ切替電圧制御方式を選択し、実証運転としての性能評価を実施し、その完成度と実用性を確認した。
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