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2018 年度 実施状況報告書

偏波面の情報とGPS測位情報を共有する高効率なミリ波ワイヤレス給電システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K06329
研究機関豊田工業高等専門学校

研究代表者

安藤 浩哉  豊田工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (30212674)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードワイヤレス電力伝送 / kQ積 / 最大伝送効率 / S行列 / インピーダンス整合
研究実績の概要

電磁波(磁界や電界)を用いるワイヤレス電力伝送では、伝送効率を議論する上で伝送系のS行列を決定する本質的なパラメータを見極めることが重要であると考え、従来からある磁気結合共振回路による伝送系をもとに伝送系を考察した結果、本研究を進める上で役に立つ多くの知見を得ることができた。
具体的には、結合係数kで磁気結合した2つのRLC直列共振回路の共振時のS行列を明らかにし、そのS行列を簡素化することで、Sパラメータが、「Z1/R1(Z1とR1は、それぞれ、入力側(ポート1側)の回路のポートインピーダンスと内部抵抗)」と「Z2/R2(Z2とR2は、それぞれ、出力側(ポート2側)の回路のポートインピーダンスと内部抵抗)」と「Q1(ポート1側のRLC直列共振回路のQ値)とQ2(ポート2側のRLC直列共振回路のQ値)の相乗平均×k=kQ(kQ積)」という3つの量で表現できることが分かった。
さらに、ポート1側で反射係数が0になる条件(ポート1側の整合条件)が(Z1/R1-1)×(Z2/R2+1)=kQ×kQであり、ポート2側で反射係数が0になる条件(ポート2側の整合条件)が(Z1/R1+1)×(Z2/R2-1)=kQ×kQであるように、整合条件も3つの量で簡潔に表現することができることも分かった。
ワイヤレス電力伝送系の伝送効率は、kQ積が一定の場合、2変数(Z1/R1とZ2/R2)の関数とみなすことができ、とくに、両側のポート(ポート1側とポート2側)で整合条件が成り立つ時に、ワイヤレス電力伝送系の伝送効率は最大になり、その最大伝送効率はkQ積のみに依存することを、簡潔に示すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

偏波面を考慮した伝送効率を評価・考察できるまでには至っていないが、伝送効率を理解する上で肝心な伝送系のモデル化・定式化には目途がついたと考えている。その研究成果は、2019年になってからの国内での口頭発表および査読付き英論文(採択決定・発表済み)という形で報告されている。

今後の研究の推進方策

これまでの成果は、磁気的に結合する2つの共振器からなる電力伝送系の諸特性(整合条件や最大伝送効率を与える条件)を支配する本質的なパラメータを、簡潔な方法で定式化して、明らかにしたことにある。
そこで、まず、同様な方法で、静電気的な結合(電気的な結合)をする2つの共振器からなる電力伝送系の諸特性を支配する本質的なパラメータを明らかにする。その上で、アンテナ間の電力伝送効率を、アンテナ間の磁気的および電気的な結合という観点で考察し、アンテナを利用する電力伝送系の諸特性を支配する本質的なパラメータを明らかにしたいと考えている。さらには、偏波面(たとえば垂直偏波と水平偏波)毎の電力伝送を、モード別の電力伝送と考えて、モード間での磁気的な結合と電気的な結合を考えることによって、偏波別に電力伝送効率を支配する本質的なパラメータを明らかにし、偏波面を適切に利用することで高効率なワイヤレス給電システムを実現したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

本研究では、伝送効率を考察して評価することが大切になる。現在、測定機器が搭載可能なラック上に送電用の指向性アンテナと受電用の指向性アンテナとが正対したワイヤレス電力伝送路を構成して、測定を行なっている。次年度使用額が生じた理由は、得られた伝送効率を評価するためのモデル・定式化を急いだため、偏波面の制御をおこなう高周波回路等の実験準備が遅れたからである。平成31年度の予算では、偏波面の制御をおこなうために必要な高周波回路等に必要な部品や機材を購入する見込みである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Study on Impedance Matching and Maximum Wireless Power Transfer Efficiency of Circuits with Resonant Coupling Based on Simplified S-matrix2019

    • 著者名/発表者名
      Andoh Hiroya, Tsuzuki Keita, Oikawa Dai, Sugiura Toko, Tsukamoto Takehiko, Maezawa Koichi
    • 雑誌名

      IEICE Electronics Express

      巻: 16 ページ: 20190156

    • DOI

      10.1587/elex.16.20190156

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 磁界結合共鳴方式電力伝送系のSパラメータと最大伝送効率2019

    • 著者名/発表者名
      安藤浩哉、都築啓太、及川大、杉浦藤虎、塚本武彦、前澤宏一
    • 学会等名
      2019年電子情報通信学会総合大会

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公開日: 2019-12-27  

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