研究実績の概要 |
本年度は、電磁波を発生するスパークギャップおよび電磁波を測定する回路の設計・製作を行うとともに、マルクス装置を動作させて電磁波を発生させることであった。しかし、マルクス装置が安定に動作しないことや出力のパルス幅や立ち上がり時間を変更できないことから、パルス電源として新たにPFN回路を作製し電磁波の発生実験を行った。 まず、電磁波を発生させる放電ギャップは、エンジンの点火プラグを組み込んで作製した。発生した電磁波を観測するためにスパークギャップの放電部を覆うように、アルミ製の円形導波管(内径114.3mm×長さ800mm)を作製し、その終端部に電磁波の一部をピックアップするための探針を取り付けた。さらに、矩形導波管(WRJ-2,長さ800mm)も準備し導波管の形状による電磁波の発生の違いも観察することにした。また、導波管の後方には、シールドボックス(全面に電磁波吸収体)を取り付け、その内部にD-dotプローブを配置した。 PFN回路の充電には、高電圧電源(60kV,5mA)を用いた。PFN回路の出力電圧および電流は、抵抗分圧器および電流プローブを使用した。電磁波の波形や周波数は、導波管に取り付けた探針からの信号をオシロスコープで測定した。また、電磁波の電力は、探針からの信号をクリスタルディテクタで整流し、その波形をオシロスコープで観察した。 上記の回路で放電実験を行い、スパークギャップの放電によって電磁波が発生することを確認した。電磁波はパルス電圧の立ち上がり時に発生し、その大きさは、立ち上がり時間に依存していることが確認された。また、電磁波が発生する時間は、パルス立ち上がりから数百ナノ秒の間であった。このことから、電磁波の発生効率を上げるには、パルス幅が数百ナノ秒移以下で立ち上がりの速いパルス電圧が必要であることが確認された。
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