研究実績の概要 |
太陽光発電システム(PVS)が普及し,火災事例など新たな安全性の問題(重大故障)が生じている。火災原因の1つのホットスポット(HS)やその原因のバイパスダイオード(BPD)故障は定期点検により検出する手法が既に確立している。しかし,煩雑で,数年に1度の低頻度点検による手遅れの可能性の問題がある。そこで,まず挑戦的萌芽研究15K13935で,ホットスポットの再現モデルを提案した。この時の論文が,日本太陽エネルギー学会の2019年度の論文賞に決定した(2020年5月)。その後,本科研費研究(基盤研究(C)17K06331)により,ホットスポットを自動診断方法を提案した。具体的には,HSが発生する原因であるBPD開放故障(重大故障)を,自然陰によるP-V特性上の動作点MPP(FF,Imp,MPPベクトル)の時間変化で自動診断する方法を提案である。関連する国内外の研究動向には,長岡技科大や名城大,宮崎大の研究,海外ではUniversity of Picardie Jules Verne(仏国)の研究がある。長岡技科大では,BPD開放故障の場所をロボットで検出する研究,宮崎大学では雷害によるBPD短絡故障の研究が行われ始めている。トーエネック㈱や日置電機㈱,㈱アイテスなどの民間企業は保守点検方法を発表している。しかし従来技術は人手による点検作業で,本研究が狙う人の手が不要で,発電を止めずに自動で常時監視することはできていない。そこで,我々は研究成果を,日本太陽エネルギー学会,国際会議ICEE2019,電気学会,電気・情報関連学会中国支部連合大会で2019年度発表した。しかし,あらゆる環境条件への対応が実用化課題として顕在化した。この技術的課題を解決し,BPD故障がHSなどの火災危険に至る前に,常時異常診断する方法が社会で求められていることであり,今後我々が取り組むべき研究課題である。
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