研究課題/領域番号 |
17K06332
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
河野 晋 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (30270375)
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研究分担者 |
冨永 伸明 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (30227631)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エレクトロポレーション / 遺伝子導入 / HL-60 / 電気パルス |
研究実績の概要 |
昨年度から引き続き,白血病細胞株HL-60 (Human promyelocytic leukemia cells)を対象として,長時間の低電圧(ミリ秒,数十ボルトから数百ボルト)の矩形波電気パルスと短時間の高電圧(ナノ秒からマイクロ秒,~キロボルト)の矩形波電気パルスを組み合わせてGFP導入の実験を行った. 昨年度の結果より,先に高電圧短パルスに印加し,しばらくのインターバルの後,引き続き,単発低電圧長パルスを印加する組み合わせパルスがGFP導入の効率化につながることが判明しており,本年度はそのパルス印加順で,各電圧の値と極性を変化して,さらに導入効率の最適化について調査した. 具体的な内容として,ナノ秒パルス(200 ナノ秒,2 kV…10 kV/cm相当)を印加後,10 ミリ秒のインターバル後,幅広い低電圧長パルス(10 マイクロ秒~1 秒,400 V~3.5 V…2 kV/cm~18 V/cm相当)を印加する2連続パルス実験において,細胞へのダメージとGFP導入数を調査した.調査結果を,キュベットへの投入エネルギーを横軸,印加電界を縦軸にとりプロットした結果,単発低電圧長パルスに最適なパルス条件(幅,電圧)があること,また,このような手法で2連続パルスの最適条件を求められることが示唆された.極性も逆極性の方がダメージが少なく導入率が高くなる傾向がみられた. HL-60細胞だけではなく,メダカ受精卵を使った同様の実験においても同様の傾向となることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きく形状の異なるパルスの組み合わせ,特に印加順序によりGFP導入率に大きな差が出ていること,また,後発のパルスパラメータにより,導入率やダメージなどの影響が大きく異なる実験結果が確認できている.パルスの形状が生体膜に対する影響やGFP導入に対する影響を大きく変化させることを示しており,研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
再現性をより高めるために,パルス条件以外に関係する可能性のある,他の条件(懸濁液の状態,印加後の細胞の取り扱い方法など)などによる影響を調査する.また2連続パルス以外の組み合わせについても検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
HL-60細胞を用いた研究成果については特許申請の関係で,2018年度内の学会発表を控えていたため旅費の使用が少なかった.2019年1月31日付で特許出願が完了しており,本年度は成果発表を多く行いたい.2019年6月の国際会議で同内容の発表が決定している.
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