研究課題/領域番号 |
17K06333
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研究機関 | 鹿児島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
樫根 健史 鹿児島工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (60332110)
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研究分担者 |
菊池 崇志 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30375521)
田村 文裕 長岡工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 助教 (10804693)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射線計測 / 機器劣化 |
研究実績の概要 |
本研究は、大強度パルス電子ビーム照射により発生する広域・高線量率放射線を取り扱える特異稀な実験環境を、福島原発の損傷原子炉内に見立て、高温蒸気下で駆動する電気モータとその周辺機材へ高線量率放射線を照射し、その影響分析と障害発生メカニズムを解明することを目的としている。 研究実施2年目となる平成30年度は、大強度パルス電子ビーム照射により発生する放射線の特性解析と、モータ巻線への影響を観測・計測するための実験系の構築・実験および数値解析に必要な計算コードの開発を行った。 大強度パルス電子ビーム照射により発生する放射線の計測においては、研究分担者の協力のもと、長岡技術科学大学にて実験を行った。実験では、大強度パルス発生装置(ETIGO-II)を用いて生成したパルス電子ビームをアルミニウム板に照射し、その時に発生する放射線を、あらかじめ校正されたシンチレータで検出し、発生放射線のエネルギーを評価した。また、CCDカメラを用いた放射線密度計測を行い、本装置より発生するパルス放射線の空間的な密度は1mm四方あたり6000本以上となるなど、高密度の放射線発生していることを明らかにした。なお、これらの結果については、2019年1月開催の核融合関係学会にて報告している。 モータ巻線への影響を観測・計測するための実験系構築および実験については、損傷原子炉内における蒸気環境を模擬するためのチャンバーの製作と、観測に必要な高速度カメラおよびイメージインテンシファイアを配備し、実験を進めた。現在、種々の実験および結果考察を行っている。なお、本内容に関する結果等については、3月開催の電気関係学会にて報告している。 損傷メカニズム解明のための数値解析に必要な計算コード開発については、計算用サーバの増強を図るなどして開発環境を改善し、本研究に利用可能なコード開発に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目である平成30年度においては、前年度から持ち越された研究に必要な機材・機器の整備および構築作業が早期に済み、また、研究の進行を妨げるような大きな事象もなく、順調に進展した。また、研究分担者の手掛ける損傷メカニズム解明のための計算コード開発についても順調に進み、ほぼ予定通りの研究進捗が図れた。次年度は、これまでの結果を踏まえて、更なる分析・検証を進め、機器の障害発生メカニズム解明を成しえたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度(令和元年度)においては、前年度に引き続き、実証実験および各種データ取得に取り組む。また、観測対象のモータ駆動装置類、材料について分析機器類を用いて詳細に分析し、損傷の原因究明に取り組む。さらに、開発した計算コードに、実験や分析結果により得られたパラメータを組み込み、数値解析するとともに、これらの結果と実験結果との比較検討を進め、最終目的である高温蒸気内駆動モータへの高線量率放射線照射による障害発生メカニズムの解明に向けて取り組む。なお、研究過程において得られた結果および成果等については、適宜、学術雑誌への論文投稿や関連学会での発表を行い、広く公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議用旅費としての利用を予定していたが、国内で実施された国際会議に出席したため、当該旅費を使途せず、次年度に持ち越すこととなった。次年度は本研究実施の最終年度となり、学術雑誌への論文投稿や関連学会における発表等で多くの学会や国際会議に出席する予定であるため、これらの分で経費を使途する予定である。
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